日本共産党の藤野保史議員は2月25日の衆院予算委員会で、東京電力福島原発事故から10年を前に原子力規制のあり方を変質させようとする動きがあることを追及しました。
藤野氏は、昨年9月に東電柏崎刈羽原発(新潟県)の社員が他人のIDカードの情報を書き換えて不正入室した問題について「原発を動かす資格に関わる重大問題だ」と指摘。原子力規制委員会が不正入室を知らないまま東電に原発を動かす「適格性」を認めたとして、再審査を要求。規制委の更田豊志委員長は不正入室問題と適格性審査との関連を否定しました。
藤野氏は柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり、新潟県が原発の安全性を検証する委員の半数を退任させようとしている問題で「(県が)委員会の変質を狙って原発再稼働を認めない人を辞めさせようとしている」と批判。また経済産業省幹部らが80回、新潟県入りしている事実を「異常な動きだ」と追及しました。
藤野氏は、福島原発事故を受け設けられた「バックフィット」制度を骨抜きにする動きを告発。最新の知見や技術を既存の原発にも適用するよう義務づける同制度は「新しい知見にフィットしなければ運転中の原発の停止も命じられる強力な武器だ」と述べ、電力会社や原発メーカーなどで構成された原子力エネルギー協議会(ATENA=アテナ)が制度の形骸化を狙っていると指摘しました。
これまで規制当局が担ってきた規制基準の作成や原発の審査と検査をアテナ側が代替する「アテナ案」に触れ、「アテナが規制委員会に取って代わろうという露骨な提案だ」と迫りました。
更田委員長は「電気事業者の主張をなぞった新味のないもので提案とは受け止めていない」と答弁。藤野氏は、原発の安全性向上を議論する検討チームで更田委員長が「ポテンシャルがある」と述べるなど、事業者へ自主的対応を許す余地を与えていると指摘し、「原発事故の教訓を踏みにじるものだ」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2021年2月26日より転載)