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原発・千葉訴訟高裁判決 国の責任認める逆転勝訴・・判断分かれた「長期評価」の信頼性

国の責任をめぐる原発避難者訴訟の判断

 東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県内に避難した住民が国と東電に損害賠償を求めた千葉訴訟第1陣控訴審で、2月13日の東京高裁判決は、国の責任を認め、原告住民の「逆転勝訴」となりました。

 国の責任を問うた高裁判決は今回で3例目です。国の責任を認めたのは今回の千葉訴訟の東京高裁判決と、昨年9月の「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の仙台高裁判決。先月の群馬訴訟の東京高裁判決は国の責任を否定しました。

「合理性を欠く」

 判断が分かれた大きな違いは、国の地震本部が2002年7月に公表した地震予測「長期評価」の信頼性です。

 先月の群馬訴訟控訴審の東京高裁判決は、「長期評価」の知見が国の規制権限行使の要件に足るものかどうかを判断する根拠として、土木学会が02年にまとめた、原発の津波水位設定手法「津波評価技術」を据えたことです。国は「津波評価技術」では福島第1原発の敷地を超える津波は想定されなかったと主張しています。

 群馬訴訟の高裁判決は、重要な証言を無視し、「長期評価」の見解が「津波評価技術」の知見と「整合しないものであった」から、津波発生を予見できたとはいえないとしたのです。

 今回の東京高裁判決は、「長期評価」と「津波評価技術」をそれぞれ検討し、「長期評価に示された見解の科学的信頼性が、津波評価技術との対比において劣位にあることを示すものとは言い難い」と指摘しています。

 その上で、「長期評価」は「津波評価技術と少なくとも同等の科学的信頼性を有していた」のだから、「規制権限行使の要件の具備の判断において基礎としないことは、合理性を欠く」と判断しました。

因果関係を検討

 今回の高裁判決の特徴と言えるのは、国が東電に対し津波対策を求め規制権限を行使しなかったことと3・11の事故の因果関係を検討していることです。

 「長期評価」は、「相応の科学的信頼性のある知見」と評価した上で、これに依拠した津波評価と同等の想定津波に対する対策を講じていれば福島第1原発への津波の影響は相当程度低減され、全電源喪失の事態には至らなかったとしました。

 また、「長期評価」公表から遅くとも1年後には津波計算結果を得て、福島第1原発に技術基準に適合するよう命令を発することができたから、津波が到来するまでの7年半余りを費やせば、対策を講じることができたとして、「規制権限不行使と事故との間に因果関係があった」と結論づけています。

 国と東電は今回の高裁判決を受け止めるべきです。

 (三木利博)

(「しんぶん赤旗」2021年2月21日より転載)