福島県沖を震源とする最大震度6強の地震で、東京電力福島第1原発事故の被災者からは、「原発はどうなっているのか」という不安が広がりました。
震度6強を観測した福島県相馬市でスーパーを経営する中島孝さん(65)は、散乱した商品を片付けながらテレビを見ると「原発は大丈夫」と伝えていました。「本当はどうなっているのか。逃げなければならないのではないか」と、不信感が募ったそうです。
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団長を務める中島さん。「10年前の原発事故の教訓は、『国や東京電力の言うことはうのみにできない』ということでした。『被害がない』というのは当てにならなかった。国民は10年間でだまされないように勉強したと思います」
震度6弱が観測された同県楢葉町。福島第1原発の20キロ圏内にある宝鏡寺住職の早川篤雄さん(81)は、10年前の「3・11」の地震を思い出しました。
福島原発避難者訴訟の原告団長を務める早川さんが真っ先に心配したのは、原発事故で溶融した核燃料のことでした。「何百トンもある溶融燃料が、どういう状態なのかも分かっていない。最悪の場合にどういう事態になるのか…。安心できるような事故収束は進んでいない」と話します。
柏崎刈羽原発(新潟県)など全国の原発で再稼働に向けた準備が進められています。早川さんは「(福島の現状を)最大の教訓にしないと、とんでもないことになる」と、警鐘を鳴らします。「地震・津波は止められないが、原発は止められる」
大橋沙織・日本共産党福島県議は「地震のたびに不安になる状況はなくさないといけない。全ての原発を廃炉にすることを急がなければなりません」と話します。
(「しんぶん赤旗」2021年2月16日より転載)