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新潟・柏崎刈羽原発 再稼働へ圧力・・県、検証委半数入れ替え 県民から不安や批判

東京電力の柏崎刈羽原子力発電所=2015年12月、新潟県

 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市・刈羽村)の再稼働をめぐり不穏な動きが続いています。昨年から資源エネルギー庁長官や東京商工会議所会頭らが相次ぎ来県。花角英世知事が「『三つの検証』が終わるまでは再稼働の議論はしない」と表明してきた検証委員会の委員を再任しないなど、再稼働への圧力が強まり、県民から不安や批判の声があがっています。

 (新潟県・伊藤誠)

 新潟県は、東電のトラブル隠し事件を受けて2003年に県独自に柏崎刈羽原発の安全性を検証する「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」を設置。中越沖地震や福島原発事故などの検証を重ねてきました。17年9月には米山隆一知事(当時)のもとで、福島原発事故の「健康・生活への影響」「実効性ある避難計画」と合わせた「三つの検証」委員会が発足。18年2月には検証全体を見渡す「検証総括委員会」を設置し、原発事故や安全性の検証を続けています。

 しかし、18年に当選した花角知事が「三つの検証が終わらないうちは、再稼働の議論はしない」「期限を区切らないで徹底的な検証をおこなう」と繰り返してきた選挙公約がゆらいでいます。

 検証総括委員会の池内了委員長が講演で同委員会の報告書に再稼働の「是か非かも書き込む」ことやタウンミーティングの開催など発言したことを、自民党の柄沢正三県議が「越権行為」だと罷免まで求める質問を昨年12月の県議会でしました。知事は、検証後の再稼働判断について「県民に信を問う」との公約を繰り返し主張してきましたが、「県議会の意見を踏まえた上で、結論を県民に示したい」とも答弁しています。

 今年1月、県技術委員会の14人の委員のうち7人を再任しないことが判明。連絡を受けた立石雅昭新潟大学名誉教授(75)=地質学=が、「これまで技術委員会で積み上げてきた検証内容や審議の経過、現に進行中の議論の継続性をないがしろにする」「なぜ今なのか」として、再任を強く求める記者会見をおこないました。「県の判断に疑問が拭えぬ」(新潟日報社説)などとマスコミ各社も大きく報道。多くの県民や研究者からも再任を求める声と運動が広がっています。

 花角知事が再稼働に向け準備を急ぐ背景には、新規制基準による柏崎刈羽原発7号機の審査と安全対策工事がほぼ終了し、東電が6月末に7号機の起動前検査を終了するとしていることや、柏崎市長選で再稼働を掲げた現職が再選したことなどがあります。

 さらに菅政権は、「2050年温室効果ガスゼロ」宣言に合わせて、原子力政策の推進を明言。東電と経済産業省は柏崎刈羽原発の再稼働について、知事の任期が切れる1年前の「今年6月までの地元同意」を得るシナリオを描き、自民党県連などへ圧力を強めています。

(「しんぶん赤旗」2021年2月5日より転載)