原子力規制委員会は1月20日、耐震対策の前提となる原発などで想定される地震の揺れ(基準地震動)のうち、地表に痕跡がない未知の震源による地震の揺れ(震源を特定せず策定する地震動)に関し、新たな評価手法を基準に取り入れる規則解釈などの改定案を了承しました。2月19日までの意見募集を行い、正式に決定する予定です。
周辺に活断層が見つかっていない九州電力の川内原発(鹿児島県)や玄海原発(佐賀県)などの原発では、基準地震動が低く評価されていることから、引き上げられる可能性があります。
原発の新規制基準では、施設周辺の活断層などによる地震の揺れと、未知の震源による地震の揺れ、いずれに対しても施設が耐えることを求めています。後者は、マグニチュード(M)6・5未満の地震を、全国共通に考慮すべきとしています。
改定基準が施行されると、各事業者は新たな評価手法で地震の揺れを評価し、既存の基準地震動と比較します。
基準地震動の更新が必要ないとした場合に、改定基準施行後3カ月以内にその旨を説明する文書を提出。基準地震動を更新する必要がある場合は、施行後9カ月以内に規制委に設置変更許可を申請します。
新たな基準地震動の設置変更許可までの期限は施行から3年。また、新たな基準地震動に基づき耐震補強工事などが必要となった場合の工事完了までの期限は、工事の見通しが明らかになった時点で定めるとしています。
今回の改定案は原発のほか、再処理施設やプルトニウム加工施設、一部の研究炉などに適用されます。
(「しんぶん赤旗」2021年1月21日より転載)