大飯原発判決を評価・・日弁連が会長声明
日本弁護士連合会(荒中会長)は12月16日、大飯原発3、4号機の設置変更許可処分を取り消した大阪地裁判決に対し、新規制基準に適合しない原発の設置許可を取り消すことなどを国に求める会長声明を発表しました。
声明は、行政訴訟として初めて原発の設置許可処分を取り消した判決の意義は大きいと評価。日弁連がこれまで、原発の再稼働を認めずできる限り速やかに廃止することを求める決議や、大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた2014年福井地裁判決を評価する声明などを出してきたとのべました。
従来の原子力に依存するエネルギー政策を改め、速やかな原発廃止や再生可能エネルギーの普及、原発立地地域が原発に依存せず自律的発展ができるよう支援することなどを国に求めています。
大飯原発 基準地震動の見解示す・・規制委 大阪地裁判決受け
原子力規制委員会は16日、関西電力大飯原発3、4号機の許可を取り消した大阪地裁判決を受けて、原発などで考慮する最大の地震の揺れ(基準地震動)の審査に関する見解文書をまとめました。
大阪地裁判決では、断層面積から経験式を用いて算出した地震規模は平均値であると指摘。実際の地震規模がこれを上回ることを考慮して、例えば経験式の基となったデータのばらつきを上乗せする必要があるかといった検討もしなかったとして、審査に「看過し難い過誤、欠落がある」としています。
見解では、基準地震動についての審査の基本的考え方として、「総合的な観点から判断している」と主張。経験式を用いて地震規模を計算する際、「観測データのばらつきを反映して計算結果に数値を上乗せする方法は用いていない」とし、そのような方法の「科学的根拠を承知していないから」としています。
また、大飯原発の審査について、断層の長さを「保守的」(長め)に設定しており、断層の傾きなどの不確かさを十分に考慮していると、これまでの主張が繰り返されています。しかし、これらの不確かさと地震規模のばらつきが、地震の揺れにどの程度影響するかなどの具体的評価は示されていません。
(「しんぶん赤旗」2020年12月17日より転載)