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温暖化抑制への逆流(4)・・“余裕 もはやない”

COP19の会場で会見に臨む国運の潘基文事務総長(左から2人目)=11月19日、ワルシャワ(ロイター)
COP19の会場で会見に臨む国運の潘基文事務総長(左から2人目)=11月19日、ワルシャワ(ロイター)

国連の播基文(パン・ギムン)事務総長は11月19日、ワルシャワで開かれている国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)で「気候変動は現在と将来の世代にとって脅威である」「人間の活動が気候変動の主要な原因である」と訴えました。そして「地球の気温を制限するためのわれわれの活動規模はまだ不十分である」として各国に取り組みを呼びかけました。

世界銀行は、COP19に合わせて気候変動の影響をまとめた報告書を発表しました。
▽1980~2012年の災害被害総額は3・8兆ドル(380兆円)。その74%が極端な天候による
▽最も対応力の弱い小国、低所得国が特に大きな被害を受けている。10年にカリブ諸国を襲ったハリケーン・トーマスは、西インド諸島の島国セントルシアで対GDP(国内総生産)比43%もの壊滅的被害を与えた・・

「温室効果ガス排出を抑制し、今後深刻化するであろう気候・災害リスクに備えるための支援を先送りにしている余裕はもはや残されていないことは明らかである」。世銀のキム総裁もこう強調します。

世界裏切る

これに対し、COP19の閣僚級会合に出席した石原伸晃環境相は20日に発言。「わが国は2020年の削減目標について、2005年比で3・8%減とすることとしました」と日本の新目標を表明しました。「90年比約3%増」の新目標について石原環境相も「一見すると低い値に映るかもしれません」と認めるほど。温室効果ガス削減を求める世界の人々を裏切るものでしかありません。

温暖化抑止の対策については、NGO(非政府組織)から意欲的な提案が出されています。

環境問題に取り組む気候ネットワークは原発への依存をやめ、再生可能エネルギーを柱としたエネルギー政策への転換を求めて次のように提案します。

「気候変動の深刻な状況を受け止め、持続可能な社会に向けた未来に向けた選択をし、エネルギー多消費型の重厚長大な産業構造から大きく社会の舵をきる覚悟をし、行動をとっていくことである。日本政府が、これまでのように原子力や化石燃料に依存するのではなく、再生可能エネルギーと省エネルギーを温暖化対策の柱に位置づけ、大胆なエネルギー・環境政策の転換に向けてイニシアチブをとることに期待したい」

環境保護団体のWWF(世界自然保護基金)ジャパンは、世界レベルでも日本においても50年に100%自然エネルギーの社会は可能であると提案。「省エネルギー」「自然エネルギー」「費用算定」「電力系統」の四つの分野で詳細な試算を発表し、地球温暖化の進行を抑える社会を次世代に残そうと運動しています。

社会見直す

温暖化対策について日本共産党は、26回大会決議案で次のように提案しています。「『即時原発ゼロ』の政治決断を行い、再生可能エネルギーの急速で大幅な導入へ抜本的に転換することで、温暖化ガスの削減についても、意欲的な削減目標を掲げ、積極的な責任を果たすという立場をとるべきである。そのさい、『大量生産、大量消費、大量廃棄』、長時間労働、『24時間型社会』などのエネルギー浪費社会の抜本的な見直しを行うことも、重要である」
(おわり)
(この連載は、金子豊弘、佐久間亮が担当しました)

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