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2050年までに温室ガス「実質ゼロ」へ・・洋上風力発電25倍に 欧州委が戦略発表

デンマークのエスビアウの西90キロメートルにある風力発電機(ロイター)

 【ベルリン=桑野白馬】欧州連合(EU)欧州委員会は11月19日、洋上風力発電の発電量を2050年までに現行の25倍増とする戦略を発表しました。再生可能エネルギー拡大を進め、50年までにEU域内の温室効果ガス排出量を「実質ゼロ」にする目標達成を目指します。

 EU域内の洋上風力発電の発電量は現行で12ギガワット(GW)です。これを30年までに60GW、50年までに300GWにまで引き上げる計画です。

 EUによると、風力や太陽光による再生可能エネルギーは、EU域内の電力消費量の約3分の1を占めています。「実質ゼロ」目標を達成するには、この割合を50年までに8割以上に拡大する必要があります。

 欧州委は、戦略の実現に向け約8000億ユーロ(約98兆5000億円)の投資が必要だとしています。域内各国に、新型コロナウイルスで影響を受けた経済回復のための「復興基金」を利用することを促します。

 今回の戦略では各国に対し、50年までに波力を利用した発電や、より深い海域にも設置可能な浮体式風量発電の導入も求めています。

 環境活動家からは、発電機の設置に伴う海洋生物への影響について懸念が示されています。欧州委は、目標達成のために利用するEUの海域は全体の3%未満にとどまる可能性があるとして、甚大な影響は生じないとの見方です。

 洋上風力発電は大規模発電が可能で、欧州は導入量で世界に先行しています。発電コスト低減が進む洋上風力発電のさらなる活用を目指します。

(「しんぶん赤旗」2020年11月22日より転載)