東北電力女川(おながわ)原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働について、宮城県の村井嘉浩知事は11月11日、再稼働の事実上の前提となる「地元同意」を表明しました。東日本大震災の被災地での原発再稼働への同意は初めて。
県民の意向触れず
村井知事はこの日、石巻市で須田善明・女川町長、亀山紘・石巻市長と3者会談を行い、再稼動への「地元同意」を決定。県民への報告ともなる記者会見より先に、梶山弘志経産相へ電話で「地元同意」を連絡しました。
また、原発施設の変更(追加工事)に関する東北電力との「事前協議」も了承しました。
記者会見で村井知事は、「地元同意」の判断に至ったポイントを問われ、県議会と、立地自治体を含む市町村長の理解を得られたと説明。県民の意向については触れませんでした。「私自身、再稼働は必要だと考えています。事故があったから駄目なら、すべての乗り物、食べ物を否定することになる」などと強弁しました。
女川再稼働 住民怒り・・「県民の総意でない」
11日午後、東北電力女川原発2号機の再稼働の「地元同意」の最終判断をする、村井嘉浩知事と須田善明・女川町長、亀山紘・石巻市長の会談会場となった県の石巻合同庁舎前。再稼働に反対する市民団体がスタンディングで「地元同意するな」とアピールしました。
周辺地域を宣伝カーも走らせながら、会場入り口付近では全県から駆け付けた県民が「女川原発再稼働NO」「子どもたちに原発のない世界を」などの横断幕を広げ、旗やプラスターを掲げてアピールしました。
会談が始まる1時間以上前から、寒風の中をスタンディング。道行く自動車から手を振り激励する市民の姿がありました。須田女川町長が到着すると「女川原発は再稼働するな」の大きな声が響き渡りました。
会談終了後、村井知事の「地元同意」表明を受けて、市民団体53団体を代表して「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の多々良(たたら)哲世話人は怒りの抗議声明を発表。「再稼働同意は、断じて『県民の総意』ではなく、再稼働問題はこれで終わりではない。これからも真に『県民の総意』に基づく再稼働の是非が決められることを求めて、あらゆる運動を進めていこう」と力強く訴えました。
(「しんぶん赤旗」2020年11月12日より転載)