東京電力福島第1原発事故で発生する汚染水を処理した後の高濃度のトリチウム(3重水素)汚染水を薄めて海に放出するなどの処分方法を政府が検討している問題で、政府が募集した意見(計4011件)の集計結果が明らかになりました。海洋放出について、約1400件が合意プロセスに懸念を示したほか、約1000件が風評影響などを懸念、約2700件が安全性への懸念を表明(重複含む)。国民的な合意が進んでおらず、強引に決定すれば問題が深刻化することが浮き彫りになりました。
意見募集は4月6日~7月末に実施。政府の廃炉・汚染水対策チーム(チーム長=梶山弘志経済産業相)が23日に開いた会合で意見の概要が示されました。
合意プロセスについては、放出反対が多く国民の合意が取れていないなか「結論を急ぐべきでない」「海洋放出ありきの議論となっている」「国際社会から批判を受ける」といった意見がありました。
漁業者への風評被害の確実な発生、福島の復興が停滞することの指摘がありました。
トリチウムそのものの安全性、炭素14などそれ以外の放射性物質が含まれていることへの懸念もありました。
タンク増設による保管継続やモルタル固化による地下埋設など、環境放出以外の選択肢の提案もありました。
(「しんぶん赤旗」2020年10月24日より転載)