原発の新規制基準策定などのため、原子力規制委員会が設置した検討会に参加する外部の専門家のうち、確認できただけで4人が、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する日本原子力研究開発機構から2009年度以降、計3300万円以上の研究費を受け取っていたことが23日、時事通信が行った情報公開請求などで分かりました。
規制委は透明性の確保を目的に、専門家に対し電力会社などから受け取った資金の申告を求め、ホームページで公開しています。ところが、原子力機構は電力会社ではないため、規制委の内規では一部を除き申告対象になっていません。
研究費を受領していたのは、阿部豊筑波大教授と山口彰大阪大教授、東京大の越塚誠一、勝村庸介両教授。阿部教授と山口教授は原発の新規制基準案を策定した検討会のメンバー。越塚教授は原発規制の制度整備を話し合う検討会などに、勝村教授は中部電力浜岡原発5号機の海水流入問題の検討会に所属していました。
時事通信が入手した3大学の資料や原子力機構によると、内規で対象になれば申告が必要な09年度以降、阿部教授は7件の研究で計1940万円以上、山口教授は3件で計約890万円を受け取っていました。越塚教授は1件400万円弱、勝村教授は1件90万円余りを受領しました。いずれも国が同機構を通じて提供した研究費は含まれていません。
4氏は取材に「規制委の基準に従った」「申告すべきと認識していなかった」などと回答。事務局の原子力規制庁は「原子力機構の規制に直接関わる検討会の専門家だけで十分」と説明しますが、阿部教授らが所属した検討会で議論された新規制基準の大半は、「もんじゅ」にも適用されます。