原発ゼロ社会をめざし政策提言をしている原子力市民委員会(座長=大島堅一龍谷大学教授)は10月22日、東京電力福島第1原発事故で発生する汚染水処分や廃炉問題のオンライン勉強会を開きました。汚染水を処理した後に薄めて海に放出する方針を、政府が来週にも決定する可能性が浮上した緊迫した情勢のもと、海洋放出以外の選択肢を検討する重要性を議論しました。
同委員会の原子力規制部会のプラント技術者2人が汚染水対策について解説しました。
川井康郎さんは、汚染水の大型タンクによる保管継続、モルタル固化による永久処分について、技術的な観点から評価。それぞれ長所・短所はあるが「現実的な選択肢」だと強調しました。30~40年で廃炉という非現実的な計画を見直せば、タンク増設の敷地は確保できると述べました。
筒井哲郎さんは「汚染水があると、デブリ(溶融した核燃料が構造材などと混ざって冷え固まったもの)が取り出せず、地元復興ができない」という大前提が、汚染水対策を困難にしていると指摘。デブリ取り出しは現実的には困難で廃棄物の行き場もなく、原子炉建屋内でデブリを長期間遮へい管理するべきだと提案しました。
満田夏花(かんな)座長代理は、漁業者や福島など、多くの放出反対の声があがっている現状を報告。きちんと公論が形成されておらず、海洋放出ありきで検討を進めてきた政府の対応を批判し、代替案を公開の場で議論するよう求めました。
(「しんぶん赤旗」2020年10月23日より転載)