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原発汚染水放出に反対・・福島の女性「私たちの意見聞いて」/原子力市民委「責任ある管理を」

原発汚染水放出に反対・・福島の女性「私たちの意見聞いて」

会見する福島の女性たちと環境団体の代表ら=20日、衆院第2議員会館

 政府が東京電力福島第1原発事故で発生するトリチウム(3重水素)汚染水を薄めて海に放出する方針を固めたことを受けて、福島の女性たちや市民団体は10月20日、経済産業相への要請などを行いました。

 福島の女性らは、海洋放出をやめ、幅広い市民からの意見を反映することを求めるよう梶山弘志経産相に要請しました。

 要請後の会見で国際環境団体NGO「FoE Japan」の満田夏花(かんな)事務局長は「東電は2次処理をするといっているが実験は始まったばかり。トリチウム以外の放射性物質が総量としてどのくらい残るのかはまだ分からない。本来であればその結果を示して公聴会や説明会などをするべきだ」と指摘しました。

 NPOはっぴーあいらんど☆ネットワーク代表の鈴木真理さん=福島県須賀川市=は「国はきちんと説明せず、私たちの意見を聞いてくれない状況で急いでいる。福島県民にとって、怒りと、まただまされたという思いだけが残ってしまう」と訴えました。

 いわきの初期被ばくを追及するママの会代表の千葉ゆみさんは「いわき市内の公園で国の基準値を超える放射線量のホットスポットを確認しているが、何の対策もとられていない。子どもたちを健康に育てあげるためにもこれ以上の環境汚染をされては困る」と強調しました。

 国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさんは「福島の多くの人たちは元の海に戻してほしいと望んでいる。もっといろんな人たちの意見を聞いて検討するべきだ」とのべました。


原子力市民委「責任ある管理を」

 原発ゼロ社会をめざし政策提言をしている「原子力市民委員会」は、「海洋放出してはならない」「汚染水は陸上で長期にわたる責任ある管理・処分を行うべきである」とする声明を発表し、政府や東京電力などに送付しました。

 声明は、経産省主催の意見聴取会、福島県内の自治体の決議や意見書などで海洋放出反対や放出による風評被害を心配する慎重な声が多数上がっているのに、「これらの声をないがしろにして、海洋放出を政府が決定することはあってはならない」と指摘。「大型タンクによる陸上での保管」「モルタル固化による処分」といった既存技術で対処できる代替方法について真剣に検討せずに「なし崩し的に海洋放出を決定しようとしている」として、汚染水問題の対処を現在に至るまで遅らせてきた「政府と東電の責任は極めて重大」と批判しています。

 会見で同委員会原子力規制部会長の後藤政志氏(元東芝の原発設計技術者)は「汚染水を今海洋放出しないといけない理由は『タンクが満杯だから』というが、10万トン級の大型タンクに置き換えればタンクの面積も狭くできる」と指摘し、代替方法の検討をするなら、海洋放出を急ぐ理由はないと述べました。

(「しんぶん赤旗」2020年10月21日より転載)