日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 福島第1汚染水海洋放出 代替案あるのに・・市民委座長 & 福島第1汚染水海洋放出 いわき市は反対示せ・・共産党地区委が申し入れ & 解説 福島第1汚染水海洋放出・・国民合意なき決定は禍根残す

福島第1汚染水海洋放出 代替案あるのに・・市民委座長 & 福島第1汚染水海洋放出 いわき市は反対示せ・・共産党地区委が申し入れ & 解説 福島第1汚染水海洋放出・・国民合意なき決定は禍根残す

福島第1汚染水海洋放出 代替案あるのに・・市民委座長

 原発ゼロ社会をめざし政策提言をしている「原子力市民委員会」の大島堅一座長(龍谷大学教授)は「アルプス処理水にはトリチウム以外の放射性物質が残っていて、より危険だ。仮に取り除いたとしても量は膨大で、海に流すのは許されない」と指摘します。

 大島氏は、大型タンクを設置する案やコンクリートで固めて長期保管する案(モルタル固化案)など、実績があり十分実現可能な具体的な代替案を、原子力市民委員会として提案したことに触れ、「海に流さなくても処分できる対策があるにもかかわらず、幅広く検討されたわけではない。また、いちばん被害を受ける福島の人たちや漁業関係者から強い反対があるなかで、いま強行するべきではない」と述べました。


福島第1汚染水海洋放出 いわき市は反対示せ・・共産党地区委が申し入れ

 東京電力福島第1原発の放射性汚染水を海洋放出する方針を政府が固めたとされる問題で、日本共産党いわき・双葉地区委員会(熊谷智委員長)は16日、いわき市の清水敏男市長宛てに申し入れ、市として断固反対の姿勢を明確にするよう求めました。

 宮川えみ子県議、菅野宗長、高橋明子両市議が同行しました。

 市に対し、海洋放出が軸の汚染水処分方針の早期決定に反対する緊急の申し入れを国に行うよう求めました。

 熊谷氏らは、タンクに保管されている汚染水の7割以上に基準値超えの多数の放射性核種が含まれ、海洋放出が環境に重大な影響をもたらすと指摘。全国漁業協同組合連合会が「絶対反対」と声を上げ、市も反対を明示することが「これ以上の風評被害の拡大を防ぎ、震災後、歯を食いしばって福島といわきの食の安全・安心を守ってきた漁業者や農業者、生産者の努力に報いる姿勢」だと強調しました。


解説 福島第1汚染水海洋放出・・国民合意なき決定は禍根残す

 トリチウム汚染水の処分方法について、菅義偉政権が、関係者や国民の反対や懸念の声に向き合わず、国民的な合意のないまま決定すれば、将来に禍根を残すことになります。

 処分方法について議論してきた国の小委員会が今年2月にまとめた報告書では、水蒸気にして大気に放出する案と海洋放出案を「現実的な選択肢」としました。一方で、海洋放出案について「特段の対策を行わない場合の社会的影響は特に大きくなる」「どのような形で処分しても、風評被害が生じうることは想定すべきだ」と指摘。関係者に丁寧な意見をきくよう求めました。

 福島県の農林水産業は、原発事故で価格の下落や販路の喪失、外国の輸入規制など困難のなかで復興に取り組んできましたが、現在も風評被害が固定化した状態に苦しんでいます。とくに漁業は、いまだに本格操業ができず、試験操業の漁獲量は震災前の2割以下。水産加工、仲卸、小売業も厳しい状況です。

 政府が4月から7回実施した関係者の意見を聴く会合では、多くの人が、海洋放出により新たな風評が上乗せされ甚大な被害が発生することへの懸念を切々と語りました。

 現状では、汚染水問題への国民的理解は十分とは言えません。

 背景には、原発事故の加害者である政府・東京電力の無責任な対応への不信感があります。一昨年には、8割の汚染水の処理が不完全で、放射性物質が基準を超えて残存している問題が発覚し、大きな批判を呼びました。

 菅政権は“安くて簡単な方法”に固執するのではなく、国民と対話し、その声に真摯(しんし)に向き合うべきです。(「原発」取材班)

(「しんぶん赤旗」2020年10月17日より転載)