秋平 日立製作所が、イギリスでの原発建設を断念したんだってね。
晴男 そうそう、原発輸出を成長戦略の柱にすえて、安倍前首相が「トップセールス」で売りつけようとしたけど、全部ダメになったんだよな。
秋平 リトアニアとか、トルコ、ベトナムなどにも原発を輸出しようとしたけど、それらも破綻した。
晴男 そもそも、福島第1原発の事故があったのに、その後に原発を輸出で売りつけようというのに無理があったよ。
地元で反対運動
秋平 脱原発の世論が、世界的に広がったからね。住民も危ない原発をつくられるのは嫌だよ。リトアニアでは、住民投票で反対が決まったし、イギリスでも、地元での粘り強い反対運動があったというよ。
晴男 経済の観点でも、安全対策の費用も膨らみ、イギリスの原発は事業費が当初予定の1・5倍の3兆円に達したという。一回、事故が起きれば、その被害はとてつもない大きさだよ。安全対策では、原発自体の危険性は無くならないにしても、その費用が大きくなるのは当然だよ。
秋平 それで、イギリスの原発を請け負った日立製作所は、「経済合理性の観点」から事業を凍結し、英政府などに支援を要請していたけど、折り合わずに、結局、原発建設を断念したというわけだ。
晴男 もう原発は商売として成り立たないということをあらためて示しているね。
経営上もお荷物
秋平 日本の電力会社も、老朽化した既存の原発の安全対策に莫大(ばくだい)な金額を費やしているけど、ほとんど再稼働できないので、経営上もまったくのお荷物だ。まともな資本家なら、こんな事業はやめてしまうしかないと思うんじゃないのか。
晴男 しかし、実際には、そうした費用も含めて、最終的には電気料金や税金で国民が負担することになる。
秋平 だから、発電もしない原発が存在し続けているというわけか。さらに、発電をしたあとの核廃棄物をどうするかなど、いまだに解決できていない問題も多い。早急に原発はやめるべきだ。
(「しんぶん赤旗」2020年10月14日より転載)