原子力規制委員会は10月7日、日本原燃のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場(青森県六ケ所村)が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承しました。8日から33日間の意見募集を実施した後、正式に決定する見通しです。
MOX燃料工場は、政府のプルトニウム利用方針である核燃料サイクル計画に必要な施設。原発から出た使用済み核燃料を再処理して得られたMOX粉末を原料に、MOX燃料に加工します。原燃が建設中の再処理工場に隣接し、同工場でつくったMOX粉末を受け入れます。
建設費は3900億円で、総事業費は約2・3兆円。原燃はいずれの工場も2022年度上期の竣工(しゅんこう)を計画しています。
同工場でつくられた燃料は、通常の原発である軽水炉でMOX燃料を利用するプルサーマルに用いられる計画です。しかし、プルサーマル発電は現在九州電力玄海原発など4基で、同工場の操業の必要性が問われます。しかも、使用済みMOX燃料を原発から持ちだす先も決まっていません。
原燃は、同工場の事業許可を10年に受けていますが、東京電力福島第1原発事故後に新規制基準施行されたことから、14年1月に変更許可申請書を提出。6年以上審査が続けられてきました。
規制委の審査では、重大事故としては、粉末のMOXを取り扱うグローブボックス内火災などを想定、臨界事故は想定できないとしています。
(「しんぶん赤旗」2020年10月8日より転載)