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大飯原発3号機 配管き裂検証長期化・・関電来月初め稼働ゼロに 市民団体「運転再開を認めるな」

 

関西電力大飯原発3、4号機(右から)=福井県おおい町

定期検査中の関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)の放射性物質を含んだ高温の水が通る1次系配管で、き裂が見つかった問題で関電は同3号機を約1年運転した後、き裂の見つかった配管を交換するとしており、原子力規制委員会で安全上問題がないか検証が続けられています。10月2日の規制委の会合で、規制委側は議論の長期化を見据え関電に今後の議論の進め方を検討するよう求めており、関電の稼働原発が11月初めにゼロになる見通しが強まりました。(松沼環)

 関電によると、き裂が見つかったのは8月に行った検査で、最初の説明では長さ6・7センチ、深さ4・6ミリ。原子炉と蒸気発生器をつなぐ配管から枝分かれした直径約11センチ、厚さ約14ミリのステンレス製配管の溶接部付近でした。

 原因について関電は、引っ張りの力がかかった金属材料に腐食作用で発生する割れ現象(応力腐食割れ)と推定しています。

 発覚直後の9月2日の説明では、き裂の深さは今後10年で0・6ミリ深くなると評価し、10年間の健全性が確認され継続使用可能と説明しましたが、規制庁は根拠が不十分と、さらなる説明を求めました。その後、関電は何度か説明を行っていますが次々にき裂の進展などの評価を変更。現在は14カ月までで最大で深さ1・2ミリ進展するが、基準を満足すると説明。約12カ月運転後、当該箇所を交換するといいます。

 市民団体は、き裂の入った配管を取り換えないままで運転再開を認めないよう規制委に要請しています。

 同3号機について関電は、9月5日に燃料を装荷し、同月下旬に再稼働を予定していましたが、今回の問題で、規制委の「理解を得た後」に実施すると規制庁に伝えています。同3号機の運転の再開が遅れた場合、この秋、関電では運転原発ゼロとなる可能性があります。

 関電は、3原発7基について規制委の審査に合格させていますが、再稼働に至ったのは4基。そのうち、運転中の大飯4号機は11月3日から定期点検の予定です。高浜4号機は、テロ対策施設の建設遅れから10月7日に停止。定期検査中の高浜3号機もテロ対策施設の設置期限を超えたため、同施設が完成しなければ運転できません。関電は本格運転開始を来年1月中旬予定としています。

切り出して調べるべきだ

 金属の腐食に詳しい元日立製作所技術者の服部成雄氏の話 応力腐食割れは、大飯原発3号機のような加圧水型原発のステンレス鋼では珍しいことですが、海外では報告があり対応が求められていた事象です。

 今回のき裂は関電の評価では、配管側から溶接部を貫通し管台に延びています。沸騰水型原発での研究でも、溶接部を貫通したという報告はありません。まず、原因調査のために割れた面を観察することが重要で、切り出して調べるべきです。

 さらに同様の現象が起こる可能性がある箇所の検査を徹底してやるべきです。関電は3号機で類似箇所を19カ所としていますが、本当にその程度なのか。もっとある可能性があります。

(「しんぶん赤旗」2020年10月8日より転載)