仙台高裁判決
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団と弁護団は1日、9月30日の仙台高裁での同訴訟控訴審判決で国と東電の賠償責任を明確に認めた判決が出たことを受けて、福島県庁を訪れ県知事、県議会各会派、福島市などに7項目の要請をしました。
仙台高裁判決は、事故の予見性を認め、事故を防ぎ得る可能性があったとして国と東電の責任を認定しました。日本共産党福島県議団への要請では、神山悦子、宮川えみ子、宮本しづえ、吉田英策、大橋沙織の5人が応対し懇談しました。
要請内容は、県に対して▽国に法的責任があるとの立場に立つこと▽国が国及び東電の法的責任をふまえた賠償基準を策定するように求めること▽国に対して、国の法的責任を踏まえて救済策を具体化するよう求めること▽国が原発政策を改めるよう求めることなどです。
原告団・弁護団は今後は、いわき市、郡山市、伊達市、二本松市、桑折町など福島県内の自治体に申し入れしていく計画です。
東京電力福島第1原発事故で東電と国の責任を明確に認め賠償を命じた9月30日の「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟・仙台高裁判決。福島県いわき市に住む原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員を務める伊東達也さんの談話を紹介します。
判決は、大津波を予見できたのに手を打たなかった国と東電の責任を認めた明快なものです。国の責任を「二次的」なものと小さくみた一審判決は間違いであると明確にし、これまでの判決を論理的に乗り越えた画期的な判決だと思います。
私たち住民は、事故が起こるずっと前から、福島第1、第2原発の重大事故の危険性を告発してきました。1971年に運転開始した第1原発が、60年のチリ地震津波被害も考慮せずに造られたものであると2005年に知り、東電に「抜本対策」を求めました。柏崎刈羽原発で地震による火災事故が起きた07年、専門家からも地震の活動期に入ったと指摘され、私たちは本社にも乗り込み申し入れました。
しかし東電は耳を貸さず、国も責任を果たさず、11年の3・11を迎えてしまいました。その時は喪失感、反省というか、半分は「とうとう起きてしまった」、もう半分は「大事故を食い止められなかった」という複雑な思いでした。
あれから9年が過ぎ、ようやくたどりついた仙台高裁判決です。私が原告団長の「原発事故被害いわき市民訴訟」は21日に結審し、来年3月までに判決が出ます。この判決を他の裁判官にもきちんと読んでもらいたいし、私たちも今後の裁判で大きな展望が開けるよう頑張っていきたい。
(「しんぶん赤旗」2020年10月2日より転載)