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近隣3県、海洋放出懸念・・福島第1原発汚染水 意見聴く会 & 配管の亀裂 公開議論へ・・大飯原発3号機

近隣3県、海洋放出懸念・・福島第1原発汚染水 意見聴く会

 東京電力福島第1原発事故で発生した放射能汚染水を処理した後に残る高濃度のトリチウム(3重水素)汚染水を薄めて海に流す案などの処分方法を検討している政府は9日、関係者から意見を聴く会合を開きました。宮城、茨城、千葉の近隣3県が環境放出への懸念の声をあげるとともに、国民や関係者の理解と納得がないもとで拙速に決定しないことなどを求めました。

 茨城県の大井川和彦知事は、9年半が経過した現在も「原発事故は終わっていない」と訴えました。小魚コウナゴからの規制基準を超える放射性物質の検出をはじめ、スズキやカレイなど30種が出荷制限となった苦難を強調。「風評被害払拭(ふっしょく)のため長期にわたる努力を積み重ね、やっとここまで回復した矢先。処理水を放出することに対する漁業関係者の強い反対は当然ではないか」と述べました。

 千葉県の滝川伸輔副知事は、海洋放出すれば「風評被害の再燃は確実。事故発生後の悪夢のような状況へ引き戻される不安を感じている」という水産関係者の声を紹介。宮城県の遠藤信哉副知事は、処理水の7割が基準値を超えた問題で、東電の対応が不信感と不安感をもたれる状況を招いたと批判しました。

 日本商工会議所の久貝卓常務理事は、高級魚ヒラメの価格低下など、福島の水産業の苦しみを紹介。損害賠償の支払いを拒む東電に不信感をもつ事業者が多いと述べました。


配管の亀裂 公開議論へ・・大飯原発3号機

 定期検査中の関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)の1次系配管で深さ約4・6ミリ、長さ約6・7センチの亀裂が見つかった問題で、原子力規制委員会は9日、原因や安全への影響評価について公開会合で議論することを決めました。事業者が事故・故障ではないとしている問題を公開で検討するのは極めて異例です。

 規制委の山中伸介委員は「PWR(加圧水型)でのこのような事象の発生はかなり珍しい。公開の場で議論して、その結果を委員会に報告を」と発言。更田豊志委員長も公開の会合での検討を指示しました。

 傷が見つかったのは、蒸気発生器と原子炉を結ぶ配管から枝分かれした配管で、高温の水が流れています。関電は、亀裂の見つかった配管は必要な厚さを満たしており、約10年後も必要な厚さを満たすことから、継続使用しても問題はないと説明。現時点では事故・故障などの報告には該当しないと主張しています。

 しかし、規制庁は説明の根拠や評価の妥当性について「説明が不十分だ」としています。

 関電は、規制委の理解を得るまで運転に向けた燃料装荷をしないとして、今月5日から予定していた装荷を延期。今後のスケジュールは未定としています。

(「しんぶん赤旗」2020年9月10日より転載)