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福島第1汚染水 海洋放出 海外も注目・・米研究者「3重水素以外にもリスク」

 東京電力福島第1原発事故で発生した放射能汚染水を処理した後に薄めて海に流す案などを政府が検討している問題が、海外でも注目されています。米ウッズホール海洋研究所の海洋化学研究者が、トリチウム(3重水素)以外の放射性物質のリスクを検証すべきだとする考察を、7日付の科学誌『サイエンス』に発表しました。

 ケン・ブェッセラー上席研究員は、トリチウム以外の放射性物質が、海洋生物相や海底堆積物との関係で、異なる挙動をする問題を指摘。炭素14は5万倍も魚に生物濃縮しやすく、コバルト60は30万倍も海底堆積物と結合しやすいことなどを例にあげました。

 汚染水は、除去が困難なトリチウム以外の62種類の放射性物質を放出基準値未満に低減できるとされる多核種除去設備(アルプス)で処理され、タンクにためられています。しかし実際にはタンクの7割以上で、トリチウム以外の放射性物質が基準を超えて残存していることが判明。東電は2次処理すると説明しています。

 同氏は、トリチウム以外の汚染物質の濃度を下げること、2次処理した後にそれぞれの濃度をタンクごとに検証・報告すること、保管を継続する選択肢を再検討することの必要性を述べています。

 海洋放出以外の選択肢として、時間による解決に言及しました。トリチウムの半減期が12・3年であることから、60年たてば97%が崩壊すると説明。敷地の外側でタンク保管することで、海洋放出の理由とされるスペース不足の問題は軽減できるとしています。

(「しんぶん赤旗」2020年8月12日より転載)