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福島・浪江 原発事故、ふるさと津島は・・思い伝えるDVD作製

草木に埋もれた家=「ふるさと津島」から

 東京電力福島第1原発事故による放射能汚染で帰還困難区域となった福島県浪江町津島地区。住民らでつくる「ふるさと津島を映像で残す会」(佐々木茂会長)は、DVD「ふるさと津島」を製作しました。撮影・監督は写真家の野田雅也さん。

 「阿武隈の山やまに抱かれ、天然のマツタケやアカマツの産地として知られる美しい山里」だった津島。同地区の総面積の約1・6%が「特定復興再生拠点区域」に指定され、除染作業や家屋の解体が始まりました。

 しかし、残りの98・4%は手付かずのまま、帰還のめどはたっていません。

 映像は、今の津島の現状と家々を地上からと上空からドローンで撮影、住民の言葉も含め、生々しく伝えています。伸び放題となった草木に埋もれていく家々。屋根に開いた穴からの雨水は、2階下の床まで貫いています。イノシシやサルなどの野生動物が住居の中まで侵入し、家の中は荒れ放題。

津島地区を撮影するソローン(野田雅也さん提供)

 震災・原発事故前は、「家族の幸せをかみしめていた」という女性。長く放置され、朽ちていく家。「家に帰りたい。でも住めるわけがない」と解体せざるを得ない苦しい胸の内を明かします。「映像を残すことで、原発事故でこうなったんだと、被害にあった私たちの思いを伝える責任と義務がある」

 登場する一軒一軒の家の映像には、所有者の名前も入っています。地区を流れる請戸川の清流や、県の重要無形文化財に指定された田植踊りの光景や除染廃棄物を詰めたフレコンバッグが大量に並んだ風景も。

 桜が満開になっても、帰ってくる人のいない津島地区。

 「ここで一生を終えたかった。悔しい。1日も早く家に帰りたい。骨になる前に」という切々たる訴えも。

 最後にナレーションは、「家族の思い出のつまった家は、山にのみ込まれようとしています。命をつむいできた暮らしの証しは、消えようとしています。100年後の子孫たちへ、故郷の最後の姿をここに遺(のこ)します」と結んでいます。

 DVDは、カラー70分。1枚1000円。問い合わせは、同会ウェブサイト。

(「しんぶん赤旗」2020年8月11日より転載)