原子力規制委員会は6月24日、四国電力伊方原発(愛媛県)の使用済み核燃料を空冷で保管する乾式貯蔵の計画が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承し、25日から30日間の意見募集を行います。
四電の計画は、鉄筋コンクリート製の乾式貯蔵施設を敷地内に新たに建設し15年以上水中で冷却した核燃料を金属製の容器(キャスク)に格納して貯蔵します。同施設はキャスク45基に合計約1200体が貯蔵可能です。
四電は、2024年度の使用開始を目指しており、費用は施設建設とキャスク製造を合わせて約250億円を見込んでいます。
3号機で発生する使用済みMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料は、同施設の貯蔵対象にはなっていません。
伊方原発には19年度末で1678体の使用済み核燃料が貯蔵されています。同原発の貯蔵能力は現在、2249体。廃炉が決定している2号機の容量を除くと3号機の運転に必要な空きが確保できない状態です。
規制委は、施設の耐震性や放射線の遮蔽(しゃへい)能力、60年の使用を想定したキャスクの耐久性などを評価しています。施設で想定される地震の揺れ(基準地震動)について地震調査委員会の「中央構造線断層帯の長期評価(第2版)」を踏まえてもこれまでの基準地震動から変更はないとする四電の評価を「妥当」と判断。広島高裁は1月、この長期評価を根拠の一つに、3号機の運転を差し止める決定をしています。
稼働継続に反対
伊方原発をとめる会の松浦秀人事務局次長の話 乾式貯蔵施設は伊方原発3号機を今後も稼働させるために設置するもので、私たちは反対です。設置されれば、使用済み核燃料が半永久的に原発敷地内に保存され続けることになります。
施設等の耐用年数を超えて存在する使用済み核燃料に、今後どう対応していくのか。見通しもないのではないでしょうか。私たちは今後も設置反対の声を上げるとともに、伊方原発を廃炉にするために頑張りたい。
(「しんぶん赤旗」2020年6月25日より転載)