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汚染水 放出決定先送りを・・福島第1 国連専門家が日本に要請

 国連の人権専門家らが6月9日、東京電力福島第1原発の汚染水の海洋放出にかかわるいかなる決定も、新型コロナウイルス感染症の危機が去って国際的議論ができるようになった後まで先延ばしするよう、日本政府に要請しました。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が同日発表し、「日本は放射性廃棄物処分で人権にかんする義務を無視してはならない」としています。

 要請したのは、有害廃棄物の管理・処分による人権への影響を担当するバスクト・トゥンジャク氏のほか、食料にかんする権利、平和的な集会・結社の自由、先住民族の権利を担当する特別報告者の計4人。特別報告者は国連人権理事会に任命され、政府や組織から独立して中立の立場で人権問題の調査・監視などを行う専門家。

 政府は現在、放射能汚染水を処理した後に薄めて海に流す案などを検討しています。

 OHCHRの発表によると同報告者は、日本政府が、意味のある議論なしに検討を加速させていることを「深く憂慮」。地元の漁業者の生計や日本の内外の人々の人権に重大な影響が及ぶことを心配し、「人々や地球、将来世代に深刻な影響を与えてしまう決定から注目をそらす“手品”として、コロナ感染症を使ってはならない」と戒めています。追加のタンク増設は可能だとして、性急に決定しないよう求めています。

市民参加の議論必要

 国際環境団体「FoEジャパン」の満田夏花(かんな)事務局長の話 汚染水処分は、福島に限らず国民的な議論が必要です。しかし残念ながら、一般市民が議論に参加するようなプロセスはなされていません。また社会的にもコロナ問題が大変で、議論できる状況でもありません。経済産業省は、2022年夏にタンクの限界がくるとして、スケジュールありきで進めているようにみえます。コロナ問題が収束した後に一般の人も含めた双方向の議論が必要です。

(「しんぶん赤旗」2020年6月11日より転載)