日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県)は1993年の着工以来、竣工(しゅんこう)予定を24回も延期しています。原因は、設計ミスや配管の溶接不良など施工ミス、試験でのトラブルなど。さらに原子力規制委員会の審査では、施設の管理不備から審査が一時中断し、申請書の不備が繰り返し指摘され、20回も補正を提出。原燃の他の施設でも、放射性廃棄物の不適切な管理などが発覚しています。
ケーブルの不備
最近の主なトラブルだけでも、2016年にはケーブルの敷設の不備が発覚。17年には、排気ダクトがさびついて穴が開いていたことや、長期にわたって未点検だった配管ピットから非常用電源がある建屋の地下に雨水が流入。18年には放射性物質に汚染されたポンプが放射線管理区域外に持ち出されています。
さらに着工から四半世紀以上経過しているため、施設などの老朽化が懸念されています。
また、同工場で想定される地震の揺れ、基準地震動は当初375ガル(ガルは加速度の単位)でした。それが、06年の耐震指針改定を受け450ガル。14年の申請時には600ガル、審査を通じて700ガルに引き上げられました。当初と比べ倍近くです。
六ケ所再処理工場の場合、06年に実際の使用済み核燃料を使ったアクティブ試験を実施しており、耐震補強などの作業をしようにも、汚染された配管などに人が近づくことはできないのです。
工場周辺の問題
工場が立地する周辺の問題もあります。同工場の南約30キロには米軍と航空自衛隊が利用する三沢基地があります。01、02年には米軍のF16戦闘機が墜落。19年には空自のステルス戦闘機F35Aが墜落しています。
同工場には現在、容量の99%近い1万2069体の使用済み核燃料、海外で再処理したものを含む、高レベル放射性廃液を溶かして固めたガラス固化体2176体を貯蔵しています。
同工場の敷地には、過去に活火山「十和田」(青森、秋田両県)の噴火の火砕流が到達したとされています。原燃は火山モニタリング(監視)をすることにしています。しかし、モニタリングに有意な変化があった場合に、敷地内の使用済み核燃料などをどうするのか、具体策はありません。(つづく)
(「しんぶん赤旗」2020年6月9日より転載)