東電責任 国民に転嫁・・紙氏「汚染測定は少なすぎ」
改定復興庁法成立
復興庁設置法等改定案が6月5日、参院本会議で自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
同法案に盛り込まれている特別会計法改定案は、中間貯蔵施設の費用など本来東京電力が負担するべき費用を国が資金交付している上、別勘定からの繰り入れを可能にします。紙智子議員は3日の東日本大震災復興特別委員会での討論で、「原発事故の被災者を含む国民に東電の責任を転嫁するものだ」と訴えました。
紙氏は質疑で、農林水産省が福島で行っている放射性セシウムの濃度の測定箇所がチェルノブイリ原発事故の100分の1と極めて少なく、放射能汚染がどのくらい下がったのか明らかにしていないと指摘。江藤拓農水相は「今後は濃度の推移、経年変化など検証・分析もしっかり行いたい」と答えました。
紙氏は、生協連職員や生産者・消費者が連携し汚染状況を明らかにしてきたことを紹介し、農家は土に含まれている放射性物質を吸い込むなど「被ばくの不安がつきまとっている」と強調。農民連が繰り返し放射性物質汚染から健康を守る対策を要求してきたにもかかわらず、対策がなされていないことを取り上げ、「対策に乗り出すべきだ」と強調しました。
原発推進 勘定を圧迫・・岩渕氏「事故処理費膨らむ」
岩渕友議員は6月3日、参院東日本大震災復興特別委員会で、特別会計法改定案が福島第1原発事故を起こした東京電力を救済する新たな仕組みづくりに結び付く点を指摘し、「断じて認められない」と訴えました。
同改定案は、電源開発促進勘定(電促勘定)の逼迫(ひっぱく)を理由に、再生可能エネルギー普及などに使い道が限られるエネルギー需給勘定から資金を繰り入れることを可能とするものです。
岩渕氏は、電促勘定からエネルギー需給勘定に資金を繰り戻す際に国民負担が生じるのではと質問。繰り戻しの方法をただしたものの、松本洋平経済産業副大臣は「現時点で見通しがなく、時期や金額、方法など示すことは困難だ」などと答弁。何も決まっていないことが浮かび上がりました。
岩渕氏は、電促勘定は原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金などに使われる電源立地対策費や日本原子力研究開発機構運営交付金など原発関連の分野に使われていることを指摘。「原発事故の処理費用が膨らみ、事故後も原発を推進していることが電促勘定を逼迫させているのではないか」と主張しました。
松本氏は「支出の合理化を図り、無駄をなくしていく」と答弁するだけでした。岩渕氏は「原発事故は国と東京電力の責任だ。本来は事故を起こした東京電力が処理費用を負担すべきだ」と主張しました。