政府が固執する核燃料サイクルの重要施設、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委員会が5月13日、新規制基準に適合したとする審査書案を了承しました。元中央大学教授(核燃料化学)の舘野淳さんは次のように話しています。
そもそも、高速増殖炉を使わないのなら再処理をする意味はまったくありません。政府はプルサーマルでプルトニウムを消費するとしていますが、“資源の有効利用”にはなりません。
再処理工場は海外でも幾度も事故を起こしており、原発以上にリスクが高いと言えます。その危険は、臨界事故、高濃度の放射性物質、爆発・火災の恐れがある有機溶媒や硝酸、水素などです。爆発などが起きれば多くの放射性物質が漏えいする恐れがあります。六ケ所再処理工場は特に、2006年にアクティブ試験(使用済み核燃料を使った試験)を実施していますが、事故や故障が繰り返され、完成はずるずると延期されて現在に至っています。既に老朽化が始まっているのではないでしょうか。無理して動かせばまた、事故を起こすのではないか。
さらに、再処理工場は事故を起こさなくても、運転を始めると環境中に多くの放射性物質を日常的に放出することになります。福島第1原発ではトリチウム(3重水素)を含む処理済み水の取り扱いが問題になっていますが、再処理工場を運転すれば比べ物にならないレベルのトリチウムが放出されることになります。
また、再処理工場の重大事故対策の審査は初めてのことです。その意味でも、審査の信頼性は低いと言えます。
使用済み核燃料を原発から持っていくために再処理工場を動かすというのは、時代錯誤です。やめた方がいい。
(「しんぶん赤旗」2020年5月14日より転載)