日本共産党嶺南地区委員会 > その他 > 【福井新聞】県幹部呼び権威誇示・・「共犯」の30年_関電金品受領/(3)「人権研修」を主導

【福井新聞】県幹部呼び権威誇示・・「共犯」の30年_関電金品受領/(3)「人権研修」を主導

2017年3月に関電本店で開かれた研修の台本。森山氏の総括の最後に「貴社には素晴らしく優れたリーダーシップを持つ御人、豊松本部長という指導者が存在されています」と書かれている

 「福井県職員や関電の役職員を、出席者の面前で罵倒、叱責(しっせき)することもあった。森山氏への畏怖の念をもたらす一因となった」。関電の第三者委が調査報告書でこう記したのは、関電が毎年開いていた幹部対象の「人権研修」。主役は、高浜町の元助役森山栄治氏(故人)だった。

 報告書によると、1987、88年に起きた被差別部落出身の原発従業員らへの差別事件をきっかけに幹部研修が始まった。2年目の89年には森山氏が「福井県も関わる研修会を開きたい」と要請、県も参加するようになった。研修は年1回ペースで、関電は役員クラスが参加。福井県側は副知事や部長ら幹部が招かれた。そうそうたる面々がそろう中、講師の森山氏は毎回、研修を総括。高らかなあいさつで締めた。

 報告書によると、京都府綾部市の職員だった森山氏は69年、高浜町に「企画室主幹」として入庁。70年から2年間、部落解放同盟福井県連合会の書記長を務めた。71年から2018年までは「福井県客員人権研究員」として県の人権施策について助言。激しい性格も相まって県幹部から一目置かれる存在になった。

 森山氏が、再稼働など原発運転に大きな影響を持つ県の幹部を呼んでいたことについて第三者委は「自治体への影響力を見せつける絶好の機会になった。(関電側は)緊密な関係にある県幹部を動かし、原発を停止させるのではないかなどという恐怖感から金品を受領していた」と分析した。

 17年3月に大阪市の関電本店で開かれた人権研修の台本が県に残されている。関電幹部らに加え、日本原電幹部らも参加した研修は、県嶺南振興局長が司会を務め、副知事、健康福祉部長、学校教育幹が講師として登壇した。

 ただ、研修に出席した経験のある元県幹部らは語る。「人権教育は推進すべき重要なこと。権威付けに利用されている認識はなかった」

 この研修も、最後はやはり森山氏が締めくくった。台本の最後にはこう記されている。「貴社には、今日の社会で素晴らしく優れたリーダーシップを持つ御人、豊松(秀己原子力事業)本部長という指導者が存在されています」。森山氏は、自らの権威を誇示する一方で、関電の“権力者”を持ち上げることも忘れなかった。(嶋本祥之)

(福井新聞2020年3月21日付けより転載)