電力会社の利益が優先される安全規制体制の抜本的見直しで、事故の再発防止を!
五人の死傷者を出した関西電力美浜原発3号機(加圧型軽水炉、八十二万六千キロワット)の配管損傷死傷事故をめぐり、福井県嶺南地区委員会の議員団は二十四日、同原発を訪れ、調査を行いました。上原修一、山本貴美子両敦賀市議、渡辺孝高浜町議、藤本俊夫三方町議、高野博宮城県女川元町議、山本雅彦地区原発担当者が参加しました。
教訓生かせば「事故は防げた」
調査の中で、高浜原発3号機が、二〇〇〇年の第十二回定期検査の際、美浜原発3号機と同じ箇所の配管で激しい減肉を起こしていたため、炭素鋼管からステンレス管に配管を交換していたことが分かりました。
渡辺孝高浜町議は、「高浜原発の教訓を生かし、すぐに美浜原発を点検していれば、事故は防げたはず」と指摘しました。
これに対し、小門晃・美浜発電所次長は、事故を起こした場所が、自社の「点検箇所から漏れていたため、分からなかった」と述べるだけで、「なぜ教訓を生かせなかったのか」の質問には答えることができませんでした。
さらに議員団は、「これでは事故が起こって当たり前だ。働くみなさんの安全をどう考え、確保していくのか」と厳しく追及したものの、同次長は、「警察の捜査が入っているので、言えない」、「今後、国からの指導があるから、それに従う」と述べるだけで、自ら事故原因を明らかにする姿勢は見られませんでした。
規制機関の独立分離を
議員団はその後、敦賀市と美浜町からも事故後の対応をを聞きました。
敦賀市では、松永隆司・原子力安全対策課長が、「枝ではなくメインの配管が、管理されていないとは考えられない。関電の対応は、信じられない」、「全電協会長の自治体として、規制機関の独立分離を求めていきたい」と話しました。
議員団は、「犠牲は息子だけにしてほしい」とねがう遺族や「安全を十分確保してほしい」という住民の声にこたえるためにも、事故を防げなかった関電の安全管理体制および、国の安全規制体制をあらためる必要性を痛感させられました。
政府は電力会社まかせにし、電力会社はメーカーに丸投して、メーカーも直接の検査には責任を負わない。重大な危険をともなう原発施設の安全管理の実態が、この間の党の調査でも明らかになっています。
根本には、原発の推進機関とは独立した規制機関が存在していない問題があります。国の責任で原発の安全を確保する体制がなく、電力会社の利益が優先される現在のあり方では、原発の安全が守れないことを、今回の事態は示しています。