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関電 高浜の土地、高額購入・・87年 県の了解経緯「不透明」

関西電力が海運会社から購入した土地。現在は関電の駐車場となっている=高浜町音海

 関西電力が1987年、高浜原発3、4号機の温排水を巡り、高浜町内の港運会社が所有する土地について、鑑定額を4億5千万円上回る約11億円で購入していたことが関電第三者委員会の報告書で判明した。取引には当時、町の助役だった森山栄治氏(故人)が介入していた。

 第三者委は介入に違法性はないとしたが、但木(ただき)敬一委員長は会見で「(高額土地取引について)どのように福井県の了解を取ったのか極めて不透明で大きな問題」と指摘。「暗部を握っていることが彼のパワーの源だった」とも述べ、取引をまとめたことが、森山氏が関電への影響力を持つ発端だったとの認識を示した。

 当時の国土利用計画法では、1万平方メートルを超える土地取引は事前に県に届け出て、価格が適正でない場合、県は購入者に契約中止などの勧告をすることになっていた。福井県では当時、県民生活部地域振興課がこの業務を担っていたが、昨年10~11月に県職員を対象にした調査では、同課は対象外だった。

フナクイムシ問題の経緯(イメージ)

 報告書によると、港運会社は海上の水面貯木場で木材を保管していた。3、4号機の運転が始まった85年ごろから温排水の影響で“海のシロアリ”とも呼ばれる二枚貝「フナクイムシ」が異常繁殖し、木材への食害が頻発。会社は同年後半、関電に被害を訴え、所有する約3万坪の土地と建物を買い取るよう迫った。このころから森山氏が介入するようになった。

 関電は不動産鑑定結果に基づき総額約6億4600万円を提示。港運会社は12億3千万円を要求したことから、関電は買い取りを拒絶したが、争いを避けたい森山氏が双方と協議し11億円で話をまとめた。(牧野将寛)

(福井新聞2020年3月17日付けより転載)