岩手では1月末までに、自宅を流された被災者のうち建設購入、補修再建、賃貸アパートへの入居で63%が自立再建をしました。災害公営住宅には5009世帯・8872人が入居し、合計84%の被災者が住宅を確保したことになります。
高齢者を見守る
災害公営住宅での孤独死が急増(2018年18人、19年16人)し、応急仮設住宅での孤独死(累計46人)を超えて50人に。入居者の多くは低所得の高齢者で、孤立・孤独化が進行しています。
入居者のコミュニティー形成の拠点である集会所は月2~6回しか使われていません。党県議団は「50戸以上の災害公営住宅の集会所には複数の生活支援相談員を配置し、コミュニティー形成と高齢者の見守り強化を」と求めてきました。
今年度から3市町に配置され、自治会長も「大変助かっている」と歓迎。来年度から5市町に拡充されます。
災害公営住宅では入居者の所得が月額15万8000円を超えた場合、「収入超過者」として4年後から家賃が段階的に値上げされます。働き盛りの世帯が退去すると、自治会もコミュニティーも支えられなくなります。
陸前高田市は19年5月から、市営災害公営住宅の空き室に中堅所得層も入れる「みなし特定公共賃貸住宅」制度を導入しました。この制度を県営にも導入させ、他の市町村に広めていきたい。
19年9月の知事選で達増拓也知事は、共産党と初めて14項目の政策協定を結び、野党共闘で圧勝。被災者の医療費や介護保険利用料の免除を10年連続で実施(12月末まで)しました。これは被災者に最も喜ばれている施策であり、県民運動と党県議団の最大の成果だといえます。
日本各地で大災害が毎年のように起きているのですから、被災者の医療費免除は本来、国の恒久的な制度として行うべきです。県に対しては21年以降も継続するように検討を要求しています。
漁業資源が激減
子どもの心のケアについては小児精神科への受診が増えており、中長期的な支援が必要です。
沿岸の基幹産業の漁業・水産業では、主要魚種のサケ・サンマ・スルメイカが大不漁に陥っています。19年度の生産量を大震災前と比べると、サケが9%、サンマが15%、スルメイカが11%にまで激減。気候変動の影響も指摘され、当面の資源確保とともに、取れる魚種への転換や海面・陸上養殖などの新たな対策が迫られています。
防災のまちづくりでは、昨年10月の台風19号で甚大な被害を受けた三陸鉄道リアス線が、20日に全線開通します。仮設団地とまちの中心部を結ぶ国の公共交通確保調査事業は大きな役割を果たしましたが、今後は高台の災害公営住宅などから乗れる公共交通の確保が急務です。
(岩手県・三国大助)
(「しんぶん赤旗」2020年3月12日より転載)