Q 東京電力・福島第1原発の汚染水対策に使われる「アルプス」ってなに?
A 原子炉建屋などに高濃度の汚染水がたまり、日々増え続けています。
この汚染水から大部分の放射性物質を除去できる処理設備が「アルプス」(多核種除去設備)。2013年の運転開始以来、約110万トンの汚染水が処理され、タンクにためられています。
Q 処理が済めば、汚染水ではなくなるの?
A アルプスが性能をフルに発揮すれば、62種類の放射性物質を国の放出基準値未満まで低減。放射性物質の濃度は100万分の1程度になるといいます。
ところが18年、処理した汚染水の大半で、放射性物質が基準値を超えて残存していると発覚。説明してこなかった政府と東電への不信が高まりました。処理が不完全な78万トン強の汚染水は、再処理する方針です。
一方、アルプスでも、水素と化学的性質がほぼ同じであるトリチウム(3重水素)は除去できません。そのため処理水は、放出基準の数倍~数十倍のトリチウムで汚染されたままです。
Q トリチウムが残る処理水はどうするのですか?
A 処分方法を検討した政府の小委員会は、トリチウムを基準値未満に薄めて海に流す案と水蒸気にして大気に放出する案を「現実的選択肢」とする一方、風評被害など「社会的影響が大きい」と指摘。漁業者や市民からは長期保管を求める声が出ています。政府と東電は、22年夏ごろタンクが満杯になると説明しますがタンクの敷地確保には後ろ向きで、近く処分方法を決めるとしています。
(「しんぶん赤旗」2020年3月15日より転載)