関西電力の役員らが福井県高浜町の森山栄治・元助役(故人)と関連企業から多額の金品を受け取っていた原発マネー還流疑惑で、関電が設置した第三者委員会(委員長・但木(ただき)敬一元検事総長)が3月14日、大阪市内で会見し、調査報告書を公表しました。関電と関連会社の役職員ら計75人が元助役と関連企業から計約3億6千万円を受け取っていたことを明らかにしました。元助役が金品を贈ったのは工事発注などの「見返り」が目的だったとしました。
今回調査で新たに52人の受領が判明。うち5人は受け取った金品が100万円相当を超えていました。報告書は、元助役の退任直後の1987年から2010年代まで、まんべんなく金品の受領が続いていたとしています。
但木氏は、福島第1原発事故後に関電が原発再稼働を目指してきた時期が事態の「変わり目」の一つと表現。新規制基準に対応するため原発工事が増える中、「金品を受けた役職員の数や金品の額も急激に増加した」と述べました。
金品を贈った目的について報告書は、元助役が関電側に、自身の関連企業への工事の発注や工事情報の提供を要求し、応じさせてきたと指摘。但木氏は「見返りとして受注企業から経済的利益を得る構造を維持することが目的だったと判断した」と述べました。
元助役が関電側に影響力を持った事情について但木氏は「高浜原発3・4号機の増設に多大な貢献をしたことがパワーの源泉の一つだ」と説明。一方、増設をめぐる過程に「不透明な部分もあり、彼がそこを握っていた」と述べ、「暗部を握っているというのが第二のパワーの源泉だった」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2020年3月15日より転載)