台湾の環境団体などは3月10日、東京電力福島第1原発事故から9年に合わせ、南部の高雄市内の公園で、脱原発を実現し、自然エネルギー100%の社会をめざすための行動を呼び掛ける記者会見を行いました。台湾メディアが伝えました。
台湾南部の100以上の市民団体でつくる「南台湾廃核行動連盟」が主催。参加者は、「台湾の原発は老朽化し、廃炉の段階にある。さらに、気候変動の緊急事態に直面し、脱原発・低炭素への転換が必要だ」と強調。(1)2020年に全電力に占める自然エネルギーの割合を20%に引き上げる(2)25~50年に低炭素エネルギーに転換するための行程表をつくる(3)気候変動対策に行動する政府を実現する―の3点を求め、「自然エネルギー100%の未来をつくろう」と訴えました。
台湾では、福島の事故後、脱原発運動が盛り上がり、2016年に誕生した民進党政権は脱原発にかじを切りました。一方、再生可能エネルギーの全電力に占める割合は5・6%にとどまっており、市民らは運動を強めています。
台湾の環境団体は毎年3~4月に脱原発を求める大規模なデモを行っていますが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止を決定。環境団体「地球公民」は「福島原発事故から10年の来年に大規模デモを行う」と宣言しました。
(小林拓也)
(「しんぶん赤旗」2020年3月12日より転載)