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原発ゼロ実現の政府を・・原発をなくす全国連絡会(全国連絡会)・全労連議長 小田川義和さんに聞く

小田川義和さん

市民と野党の共同こそ

 2011年3月11日に発生した、東日本大震災・東京電力福島第1原発事故から今年で9年。「原発ゼロ」を求める行動が各地で広がり、国会で野党4党による「原発ゼロ基本法案」の提出に結実しました。市民と野党の共同の広がりや原発のない日本をめざす取り組みについて、「原発をなくす全国連絡会」の小田川義和さん(全労連議長)に聞きました。(前田智也)

 福島第1原発の現状は、いまだに事故の収束も原因の究明もできていません。汚染水は日々たまり続け、除染作業員などへの被ばくも広がり続けています。放射線汚染物質の処理方法も廃炉のめどもたっていません。

 あらためて、他の自然災害とは次元が違う放射能被害の異質性に目を向けることが求められていると思います。

政治を変える

 それにもかかわらず安倍政権や東電は、原発事故は終わったかのように帰宅困難地域の解除や原発事故被害者への賠償を打ち切っています。政府が主催していた追悼式典も来年で打ち切ると発表しました。そうした動きと一体で原発の再稼働どころか新増設、そして海外輸出に前のめりの姿勢を示しています。

 このような政治を変えなければ原発ゼロは実現しないという決意を新たにしています。

 原発ゼロ基本法案が2018年、野党4党による共同で提出されました。原発ゼロを実現する上での旗印であり、運動を進めるうえでも非常に大きな政治の場の動きです。

 どの世論調査を見ても6割を超える人たちが原発に依存しない社会を求めています。法案は、再生可能エネルギーへの転換、省エネとともに、原発即時停止や再稼働・新増設の禁止などが柱であり、国民の願いにこたえたものです。与党などによる法案の審議拒否を許さず、制定を求める大きな世論をつくっていくことが必要です。

 私たちは同法案の審議・制定を求めて、「さようなら原発1000万人アクション」と共同して団体署名にも取り組みました。元内閣総理大臣の小泉純一郎さん、細川護熙(もりひろ)さんが顧問を務める「原発ゼロ自然エネルギー推進連盟」(原自連)のみなさんなどとも連携しています。さらなる運動の広がりをめざす決意です。

意識変わった

原発のない世の中にしようと、パレードする人たち=2019年3月9日、東京都台東区

 振りかえってみますと、さまざまな分野での共闘の発展は、東日本大震災・福島第1原発事故をきっかけにした再稼働反対・原発ゼロを求める運動の影響が大きかったと思います。

 3・11以降、首都圏反原発連合(反原連)が主催した首相官邸前抗議に代表される個人や市民有志のグループによる抗議の行動が広がりました。SNSを中心にシングルイシュー(一つの課題)でたくさんの人が集まり、短いコールを繰り返して意志を表明するスタイルは印象的でした。

 これまでなかったような新しい市民の運動に、私をはじめさまざまな組織に属する人たちも参加するなかで、価値観や意識も変わったのではないかと思います。そうした経験が、「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」の結成にもつながっていきました。

 原発事故から10年目を迎え、福島の切り捨てを許さず、風化させない取り組みの重要性を再認識しています。全国連絡会としても、福島の実相を伝えるDVDの普及をはじめ学習や宣伝行動に力を入れる方針です。

 そして、国政選挙も見すえながら原発ゼロをめざす旗印である原発ゼロ基本法案を政治の争点へと押し上げ、「再稼働反対」「原発ゼロ基本法の制定を」など一致点での共同をさらに広げ、原発ゼロを実現する政府につなげたいと決意しています。

(「しんぶん赤旗」2020年3月5日より転載)