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エネ基本計画 原発ゼロ目標を放棄・・経産省原案「重要なベース電源」

経済産業省は12月6日、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の原案を、同省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(会長・三村明夫新日鉄住金名誉会長)に提出しました。原案は、原子力発電を「重要なベース電源」と位置づけ、「原発ゼロ」目標を投げ捨てました。

「ベース電源」は、一定量の電力を安定的に供給できる特長を表す専門用語。発電量が天候に左右される太陽光や風力発電との違いを強調する狙いがあるとみられます。

東京電力福島原発事故で広がった原発ゼロの世論に押され、民主党政権は2012年9月に「30年代に原発稼働ゼロ」を目指す方針を打ち出しました。茂木敏充経産相は6日の閣議後会見で、「原発ゼロ」は「現実性がない」と述べました。

原案は、原発について電力の安定供給や費用面で優れていると指摘。新増設にも含みを持たせました。核燃料サイクルの着実な推進、原発輸出の促進も盛り込みました。年内に最終案を策定し、年明けに閣議決定する構えです。

解説・・原発固執 財界・米国の意向

今後20年程度のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の原案は、原発ゼロを求める国民世論に背を向け、危険な原発に固執し続ける安倍晋三政権の異常さを示しています。

環境団体からは「原発が『重要なベース電源』というのは全く受け入れられない。国民の声を聞こうとしない市民軽視は秘密保護法と同じ構図だ」(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議の早川光俊専務理事)と厳しい批判が出されています。

民主党政権が昨年8月に発表したエネルギー政策に対するパブリックコメント(意見公募)では、寄せられた約9万件の意見の9割が「原発は不要」と主張していました。こうした声に押され、同政権も「2030年代の原発ゼロ」を発表せざるを得なくなりました。

これに反対したのが財界と米国でした。日本経団連の米倉弘昌会長は、野田佳彦首相(当時)に電話をかけ、「承服できない」と直接抗議。米エネルギー省のポネマン副長官も「意図せざる影響もありうる」と表明しました。

安倍首相は政権交代後、「原発ゼロ」目標の「ゼロベースでの見直し」を指示。エネルギー基本計画を議論する総合資源エネルギー調査会基本政策分科会では、原発に批判的な委員の多くが原発推進論者にすげ替えられました。国民の声を徹底的に排除し、財界・米国の意向に従う安倍政権の暴走が、エネルギー政策でも発揮された形です。

(佐久間亮)

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