日本原子力研究開発機構は12月22日までに、台風15号の強風で茨城県大洗町の大洗研究所内の材料試験炉の2次冷却塔が倒壊した問題について、これまで行ってきた点検では、倒壊の原因と推定された、木材の筋かいの腐朽を把握できなかったとする報告書を原子力規制委員会に提出しました。
それによると、冷却塔の構造部材を構成する筋かいの木材の下端部で腐朽が進んでいることが複数確認されました。材料試験炉は2006年8月の運転停止後、長期間使用しなかったため、雨水の染み込みなどから腐朽が進行しやすかったと推定。しかし、冷却塔の点検は目視によるもので、筋かいの木材の腐朽状態を確認できなかったとしました。
このため原子力機構は、冷却塔と同様の木造の原子力施設を防止するために、木材の腐朽が進行しやすい箇所を特定した点検を行い、年1回の打音点検を行うことや、必要な場合には超音波測定器による検査をするといいます。同機構によると、冷却塔は9月9日朝、台風15号による最大瞬間風速30・9メートルの風で、強度を保つはずの筋かいの腐朽で倒壊しました。
(「しんぶん赤旗」2019年12月23日より転載)