菅原一秀前経産相の公職選挙法違反疑惑、関西電力の「原発マネー」還流疑惑、野党議員の国会質問漏えい問題。臨時国会が開会し3週間余り、真相解明が求められる問題が続出しています。
国会の行政監視機能を発揮すべき時です。ところが政府・与党は、野党が求める参考人招致などに背を向け露骨に疑惑にふたをする姿勢を示しています。
説明責任に背
地元選挙区で有権者にメロン等を配った疑惑を抱えた菅原氏は、公設秘書が香典を届けた問題で10月25日、経産相を辞任しました。公選法は、国会議員が選挙区内で金銭や物品を配ることを“買収”の罪として禁止しています。議員の資格にかかわる問題で、事実であれば議員を辞職すべきです。疑惑の人物を経産相に任命した安倍首相の任命責任は重大です。
菅原氏は、有権者へのメロンなどの配布について「今調査をしております」(10月11日の衆予算委)と述べ、香典問題では「国会で説明する」(10月24日、記者団に)としていました。そのいずれの結果も明らかにせず辞任したのです。菅原氏が国会で説明責任を果たすのは当然です。
ところが自民党の鈴木淳司理事は、野党が求めた菅原氏の衆院経産委員会での説明を「事実上不可能」として、「この問題を引きずって委員会が開けないのはおかしい」(10月25日)などと述べました。菅原氏も「国会の停滞」を辞任の理由に挙げました。しかし、菅原氏が説明をすれば「国会を停滞」させることはなく、“説明拒否”こそが国会を停滞させているのです。
第三者委任せ
関西電力の「原発マネー」還流疑惑では、本会議や予算委員会の審議の中で、問題が国の原発推進政策にかかわる利権であることが浮き彫りになりました。
ところが自民党は、野党が真相解明のために求めた関電幹部ら7人の参考人招致を「一民間企業の金銭の不祥事」として拒否しています。疑惑隠蔽(いんぺい)に加担していると言わざるを得ない姿勢です。
安倍首相は「関電は独立した『第三者委員会』で調査している」と繰り返し、第三者委員会の報告を待つという姿勢です。関電の会長も社長も金品を受け取っていた当事者です。関電がつくる第三者委員会では、肝心の真相が隠されてしまいます。
真相解明のためには、国会が国政調査権を行使して、野党が求める関電関係者の国会招致が不可欠です。
参考人招致を
参院予算委員会での森ゆうこ議員(国民民主党)の質問内容が事前に漏えいしてインターネットで流され、森議員が一方的に批判された問題は、国会での質問権を侵害し国政調査権をおとしめる問題です。
この問題では、10月24日の野党合同ヒアリングで質問通告をまとめた資料が内閣府からインターネット上に漏れていたことも明らかになりました。
菅原氏の辞任について「任命責任は私にあり、こうした事態になったことを国民のみなさまに深くおわび申し上げる」(安倍首相、25日)というなら、菅原氏に国会で事実関係を説明させるのが当たり前です。関電疑惑、質問漏えい問題でも具体的な事実が判明した以上、真相解明に向け関係者の参考人招致は待ったなしです。
(若林明)
(「しんぶん赤旗」2019年10月27日より転載)