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国会の視点 関電「原発マネー」還流疑惑・・「一民間企業の問題」ではない 関電関係者の国会招致を

 「国策として原発が推進され、地元にゆがみが押し付けられて『ものが言えない』と苦しんできた住民がいる。闇にメスを入れなければならない」(日本共産党の藤野保史議員、10月11日の衆院予算委員会)。関西電力への「原発マネー」還流疑惑が国政の焦点になっています。(若林明)

「一体で推進」か

 藤野氏は、(1)原発立地自治体の福井県高浜町への経産省からの出向が10年以上続いている(2)出向期間がプルサーマルを政府が推進する時期と重なっている―ことを明らかにし、疑惑が政府・自治体一体の「原発推進政策」の下での疑惑であると告発しました。

 日本共産党をはじめ野党は衆参の質疑で、原発再稼働を進める安倍政権の国策の問題だと追及。ところが、政府は疑惑の調査を関電に丸なげし、関電関係者の参考人招致にも後ろ向きです。

 「あくまで一民間企業の金銭の不祥事にすぎず、呼ぶわけにはいかない」。自民党の坂本哲志理事はこう述べ、野党が衆院予算委理事懇(9日)で求めた関電関係者7人の国会招致を拒否。しかし、関電の八木誠前会長ら複数の幹部が、福井県高浜町の元助役から7年間(2011~17年)で3・2億円もの金品を受け取っていた問題は、関電という一民間企業の問題ではありません。

 関電など電力事業者は、国民の電気料金で運営している公益企業です。しかも関電は11年以降、原発再稼働のために家庭向け電気料金を2度も値上げし、政府・経済産業省は電気料金値上げを認めてきました。その一部が「原発マネー」として、関電幹部に還流していたのです。「一民間企業」どころか政府・経産省の監督責任そのものが問われます。

隠ぺい加担与党

 国会招致を拒否する与党の態度は真相究明どころか疑惑“隠ぺい”に加担しているといわざるをえません。

 参院予算委員会理事懇では、与党は関電関係者の国会招致を野党と関電との対応にすませる態度です。野党が国会招致を要請したのに対して、関電は文書で「質問に十分な回答を差し上げることが難しい」などと拒否。関電が設置した「第三者委員会」で「客観的かつ徹底的な調査に対し、真摯(しんし)に対応していく」などとしています。これは、岩根茂樹関電社長が記者会見で「国会のご要請があれば真摯に対応してまいりたい」(9日)と述べたこととも矛盾します。

 安倍晋三首相は、「関西電力は独立した第三者機関のもとで調査を行うと承知している」(8日の衆院本会議)と述べました。しかし、関電が設置した「第三者委員会」では肝心の真相が隠されてしまいます。闇の真相解明のためには、政府自ら調査を行うとともに、国会が国政調査権を行使して、関電関係者の国会招致を実現することが必要です。

(「しんぶん赤旗」2019年10月17日より転載)