東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島地区の住民たちが国と東電に原状回復と損害賠償を求めた訴訟の第25回口頭弁論が福島地裁郡山支部(佐々木健二裁判長)で11月15日、開かれました。3人の原告が被害実態を証言しました。
佐々木茂さんは子どものころに自然豊かななかで遊んだと証言。「いつ故郷に帰れるのかロードマップを作ってほしい。私は必ず帰ります。汚した人が掃除するのは当たり前。一日も早く除染してほしい」と訴えました。
児童クラブの指導員だった佐々木加代子さんは、震災時に子どもたちが怖がって泣きだしたといい、保護者が迎えに来るまで車のなかに避難。その後は炊き出しなど避難者の世話をしました。「手伝ってくれた子どもたちが被ばくしたのではないかと苦しくなります」と陳述しました。
武藤晴男さんは父親が避難生活で体調を崩し、2014年3月に亡くなりました。母親(16年死去)は認知症の症状が出て帰り道が分からなくなりました。医者から「環境が変わったから」と言われました。妻の多恵子さんは、13年6月にパニック症候群と診断が出ました。「裁判を通して断罪し、美しい津島が返ってくるようにしてください」と涙ながらに訴えました。
(「しんぶん赤旗」2019年11月17日より転載)