東京電力は12月10日、福島第1原発1、2号機の海側にある観測用井戸の水からストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり150万ベクレル検出されたと発表しました。採取日は9日。この井戸では、放射性物質の濃度が上昇傾向にありにり、11月4日に採取した水(同54万ベクレル)の約3倍、1~4号機海側井戸では過去最高値となりました。
1、2号機間の護岸では、放射性物質の海への流出を防ぐため、薬剤で土壌を固める工事が行われており、東電は「工事が地下水の流れに影響を与えた可能性がある」と説明、新たな汚染水漏えいはないとみています。
この井戸は、護岸から約40メートルの位置にあり、高濃度汚染水がたまって地下水の汚染源の1つとみられているトレンチ(ケーブルなどの地下管路)にも近いといいます。
一方、土壌固めを実施した護岸に近い別の井戸で9日採取した水からは、同2万9000ベクレル検出し、11月25日採取分(1万8000ベクレル)から上昇しました。
トリチウムの放出も検討課題・・政府対策委
東京電力福島第1原発の放射能汚染水問題で、政府の汚染水処理対策委員会(委員長・大西有三京都大名誉教授)は12月10日、従来の汚染水対策に加え、地表からの雨水の浸透を防ぐ舗装(フェーシング)などの追加的対策や、処理後に残る放射性物質トリチウムの放出も含めた検討の必要性を提言する報告書を取りまとめました。
報告書は、汚染水増加の原因となっている地下水の流入防止策として、建屋周辺の遮水壁に加え、周囲1~2平方キロの地表を舗装するフェーシングを提案。実施前に除染を行うことも明記しました。
また、最終的にトリチウムを含んだ水が大量に残ると指摘。除去技術の実現可能性や、貯蔵を続ける場合と放出する場合それぞれの問題点を検討する専門家チームを設置し、来年3月までにメリットとデメリットを示すとしています。