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気流 関電の調査報告書・・森山元助役に経営トップの手紙 原発立地時のやりとり保管か

関電疑惑究明の野党合同ヒアリング=3日、国会内

 関西電力をめぐる原発マネー還流疑惑が噴出しました。高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町で、地元を取り仕切る森山栄治元助役(故人)から多額の金品が関電役員らに渡っていました。関電は、当初公開しなかった調査報告書を2日に公表。その内容は…。

 A 関電は2日の記者会見で、社内の調査委員会が昨年9月にまとめた報告書を初めて公表した。原子力部門を中心に現金や金貨、小判までばらまかれていたことが明らかになった。

 B 菓子袋の下に金貨があったということも明らかになった。テレビの時代劇を見るようだったよ。

「世間に出たら」

 A 電力業界に詳しいジャーナリストは、各電力会社には社内に「立地屋さん」と呼ばれる地元工作部隊が存在すると指摘する。彼らの役割は、原発建設反対の住民たちに、“飲ませ食わせ”の接待を繰り返し、丸め込むというものだ。

 C この「立地屋さん」という役割を果たしたのが、森山元助役だった、ということか。

 A 単なる「立地屋さん」と違う点は、その暴力的な体質だ。

 C 森山元助役に対応する関電職員の中には、どう喝を受け、「うつ病になった人、辞表を出した人、すぐに左遷された人などがいる、などの話が伝えられることがあった」と、報告書は書いている。身の危険を感じることさえあった、という。

 A 報告書には、「高浜3・4号機増設時に関電経営トップと何度も面談し、増設に関して依頼を受けたと話していた。森山氏は、その際、当社の経営トップから受け取ったという手紙やはがき等を保管しており、『発電所立地当時の書類は、今でも自宅に残っており、これを世間に明らかにしたら、大変なことになる。』などといった発言があった」との記述もある。

 C 高浜原発1号機を建設する際、関電側から森山氏側に、反対運動を抑え込む依頼があった、ということなのか。

 B 森山氏が高浜町の職員になったのは、1969年12月のこと。時を同じくして高浜原発1号機の設置許可が下りた。

 C 関電側とのやりとりを示した「手紙やはがき」を、その後も所有しており、もし、その内容が明らかになれば、関電が「大変なことになる」というのが、関電を「脅す」物的根拠となった、ということになるね。

 A 2日の記者会見で八木誠会長は「森山氏は高浜発電所3・4号機の誘致、あるいはそのときの地域の取りまとめなどで、当社はかなりご協力をいただいた。そういった方が機嫌を損ねて原子力事業に反対されると、高浜町全体、地域全体が反対に動いていくリスクがある」と説明した。さらに「地域から反対の声が出てくるというのは非常に原子力事業運営に影響がある。そういった意味ではこの森山氏は大変な影響力を地元に持っている」などと言った。

再稼働の狙いも

 C 東電事故後、再稼働をめざす関電にとっても、森山元助役の協力が不可欠だった、ということもあるだろうね。

 B 岩根茂樹社長は「東日本大震災以降も、原子力発電所の早期再稼働に向けて大規模な安全対策工事が進展する中、地元の有力者である森山氏との関係悪化を極力避けて原子力発電所を安定的に運営したいという思いがあった」と語っている。

 C まさに、原発最優先の姿勢だね。

 A 関電の原発マネー還流疑惑で浮き彫りになったのは、原発の建設と稼働、そして大震災事故後の再稼働には、桁違いの金と権力と暴力の癒着が必要だったということだ。

 C 疑惑事件の全容解明が求められる。

(「しんぶん赤旗」2019年10月8日より転載)