東京電力の“ドン”で元会長の勝俣恒久被告は、政府機関の地震予測「長期評価」と、その見解をもとにした福島第1原発に襲来する津波高「15・7メートル」の計算について、事故前は「知りませんでした」と述べました。
万能ではない
しかし、2009年2月の勝俣被告が参加した「御前会議」と呼ばれる会合で第1、第2原発のバックチェックの状況が議題となった際、吉田昌郎・原子力設備管理部長が「もっと大きな14メートル程度の津波がくる可能性があるという人もいて」と発言したことを、勝俣被告は「聞いた」と証言しました。残されたメモには、武黒一郎被告が他の原発の状況について質問し、武藤栄被告も発言したことが記載されています。
当時、社長と会長を務めた勝俣被告は、検察官役の指定弁護士から「原発の安全対策が万全かの情報を収集する義務があるのでは」と最高責任者としての責任を問われ、「原子力・立地本部がしっかりやっている」「社長は万能ではない」などと述べ、安全対策の責任は自分にはないと断言。原子力・立地本部の本部長だった武黒被告は「副社長になって対外業務が多く、会社にいたのは半分くらい」「(副本部長の武藤被告に)協力してもらった」と述べ、武藤被告は「決定権限がない副本部長」などと発言しました。
禁錮5年求刑
検察官役の指定弁護士は3被告に対し、いずれも最高経営層に属し、万が一にも事故を起こさない義務があり、情報収集義務を実行する契機があったのに怠ったと過失を主張。津波対策が完了するまで運転停止させる義務があったのに漫然と運転を継続したとして、禁錮5年を求刑しました。裁判所の判断が注目されます。
(おわり)
(「しんぶん赤旗」年9月19日より転載)