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原発耐震評価 未知の震源 大きな揺れ対象外の恐れ

 原子力規制委員会は8月28日、未知の震源による地震の揺れに対する新たな策定方法を規制に反映する方針を決定しました。

 未知の震源による地震は原発の周辺で発生することが否定できないため、規模は大きくなくとも施設に影響を及ぼす可能性があります。このため耐震審査ガイドでは全国共通に考慮すべきものとして、マグニチュード(M)6・5未満の地震の震源周辺での観測記録をもとに評価することになっており、過去の14地震を例示しています。

 しかし、実際の審査では、2004年の北海道留萌支庁での地震M5・7の観測記録だけをもとに評価。ほかの地震の記録は、観測地点の地盤特性が不明で利用できないと事業者側が主張。規制委も他の地震記録の審査への反映は長期的課題などとして容認してきました。このため、裁判などで未知の震源による地震の揺れの評価は“過小だ”と住民側から批判されてきました。また、最近の地震観測記録の反映も課題となっていました。

 今回の新たな策定方法を採用することで、一部の原発では対策を求められる可能性があります。

 一方で、策定された未知の震源による地震の揺れの強さは、2000年から18年までに発生したM5・0~6・6の89地震の観測記録をもとに統計的な処理を行ったものです。観測記録の97・7%が、策定された揺れの強さを超えていないといいます。逆に2・3%の記録は、策定された揺れの強さを上回ります。この2・3%にあたる地震の揺れが原発で発生しないとする論拠は示されていません。

 脱原発弁護団全国連絡会は、統計手法を用いたことで「規模の大きい地震動(地震の揺れ)を考慮対象外にしようとしている」との意見を示しています。

 今回の策定方法を採用することで今後、未知の震源による地震で今回策定された揺れの強さを超える揺れを観測したとしても、規制基準に反映されない可能性があります。(松沼環)

(「しんぶん赤旗」2019年8月30日より転載)