【ベルリン=伊藤寿庸】夏休みを利用してドイツを訪れている福島の高校生が8月8日、ベルリンの高校で自らの震災体験を語りました。NPO「アースウォーカーズ」が主催する「福島を伝え、再生エネルギーを学ぶ福島・ドイツ高校生交流プロジェクト」(独日協会連合会財団が助成)に参加した9人です。
東日本大震災・福島原発事故が起こったとき7~9歳だった生徒たち9人は、ベルリン市内にホームステイしながらフェリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ高校で授業体験をしています。この日は、地震発生時の恐怖やその後の避難生活、また避難先でのいじめなどの体験を英語で語りました。
石川聖真さん(安積高2年)は、外に出るときはいつもマスクと放射線量測定器を着け、外で鬼ごっこをして遊んで帰ると母に厳しく叱られたことなどを語り、「発電に原子力を使うのは危険だ。将来はクリーンエネルギーの仕事に就きたい」と語りました。
戸川華恵さん(福島南高1年)は、浪江町で被災し、つらい避難生活を送るなかで、「避難者は賠償金をもらっている。放射線を持ち込んでいる」などと心無い言葉をたくさん投げかけられたことを涙で声を詰まらせながら語りました。
消防士の父を持つ久下菫(すみれ)さん(郡山高2年)は、「このまま家族がバラバラになるのではと思った」と話し、海外からの救援隊の活動を見て、海外にかかわる仕事をして「私なりの恩返しをしたいと思うようになった」と述べました。
「一番怒りがわいたのは、被災地を見ていない評論家がニュースで福島について語っていたこと」(蛭田里桜さん=立命館慶祥高1年)、「災害が起きたときに人を助けられる看護師になりたい」(戸田美悠さん=橘高2年)などの発言も。
フェリクス・メンデルスゾーン・バルトルディ高校のタミーナさん(15)は、「泣きそうになった。いじめはフェアじゃない。(被災したのは)彼女たちに責任はないのだから」と話していました。
(「しんぶん赤旗」2019年8月11日より転載)