東京電力福島第1原発事故を引き起こしたとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の裁判で明らかになったことをまとめた短編映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」(制作・Kプロジェクト、河合弘之監督)の上映会と会見を8月1日、映画を企画した福島原発刑事訴訟支援団が国会内で開きました。
東電刑事裁判は2017年6月の初公判から1年9カ月、37回にわたる公判で結審し、9月19日に判決を迎えます。
起訴状によると、勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3被告は、津波の襲来で事故が発生する可能性を予見できたのに、運転停止を含む防護措置を取る義務を怠り漫然と運転を継続。長時間の避難を余儀なくされた双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら44人を死亡させたなどとしています。3被告は無罪を主張。検察官役の指定弁護士は3被告に禁錮5年を求刑しています。
映画は26分。双葉病院の入院患者らの避難の経過、東電が津波の計算をし、対策を先送りしたことを示す会議資料など刑事裁判で出された証拠、被告の証言などを交えて裁判の争点を明らかにしています。福島県内各地で上映会を予定。インターネットのユーチューブでも視聴できます。
映画の構成、監修をした海渡雄一弁護士は「(映画で紹介された)証拠類は普通の市民の目には触れなかったもの。重大事故がどういう背景の下で起きたのか、その後捜査や調査がどう進んだかは多くの国民が共有すべきだ」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2019年8月2日より転載)