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原発賠償 国が責任を・・日弁連集会 仲介機能強化など要求

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故(2011年)の賠償をめぐって、日本弁護士連合会は7月27日、東京都内で集会を開きました。

 潮見佳男・京都大学大学院教授が講演しました。一連の原発訴訟判決で、平穏生活権など権利の概念の広がり、「自主避難」・風評被害への賠償の肯定などの成果がある一方で、裁判所の「壁」があると強調。▽賠償の範囲基準を定めた国の「中間指針」に縛られ、最小限の賠償となっている▽放射線被害で科学的見解が分かれる中で、国・東電側の見解に合理性を置く判決となっている―などと指摘しました。

 3氏が報告。渡邊真也・ふくしま原発損害賠償弁護団事務局長が、裁判外紛争解決手続き(ADR)による和解仲介について、東電が集団申し立てを中心に和解案を拒否する事態が続いていることを紹介。ADRの仲介に拘束力を持たせる措置が必要だと述べました。

 福島県弁護士会いわき支部の渡辺淑彦弁護士が「中間指針」について、長期避難による後遺症や営業損害の終期に関する規定などがあいまいだとして、原発事故から8年余たった中で改定すべきだと主張しました。

 関礼子・立教大学教授が、避難が続く地域はもちろん、避難が解除された福島県川俣町山木屋地区では再開した小中学校で子どもが戻らずに休校になったことを示し、ふるさと喪失でなく「ふるさと剥奪」という考え方が必要だと述べました。

 シンポジウムが行われ、東電の不法行為の時効10年の再延長、ADRの機能強化など国が責任を持って対応すべきだと強調されました。

(「しんぶん赤旗」2019年7月28日より転載)