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東電、福島第2廃炉方針・・内堀知事に正式表明

小早川社長(左)の報告を聞く(テーブル右側から)松本樽葉町長、内堀知事、宮本富岡町長=24日、福島県庁

 東京電力の小早川智明社長は7月24日、福島県庁で内堀雅雄知事と会い、福島第2原発(同県楢葉町、富岡町)全4基の廃炉方針を正式に表明するとともに、同原発敷地内に使用済み核燃料を保管する貯蔵施設新設の方針も伝えました。 

 県民の世論と運動、県議会の数度の決議などに押され、同社は昨年6月、廃炉方針を表明したものの、具体的な進展がないまま1年余過ぎました。

 同社長は「この間、社内でプロジェクトチームをつくり検討、おおむねめどがついた。全基廃炉を前提に取締役会(31日)に付議する準備をしている」と述べました。さらに、全基廃炉には40年を超える期間が必要なことや、廃炉を通じた地域振興に向けた取り組みを進めたいと述べました。

 内堀知事は「重く受け止めている。県内全基廃炉についての大切な一歩。正式決定に向けてスピード感をもって対応するようお願いしたい」と述べ、貯蔵施設新設計画については「両町とともに協議していく」と答えました。

 松本幸英楢葉町長、宮本皓一富岡町長も同席し、「町民と復興にとってプラスのメッセージになる。一日も早くお願いしたい」などと話しました。

解説

国は原発固執やめよ

 東京電力の小早川智明社長が福島県に、同社の福島第2原発全4基の廃炉を正式に伝えました。当然の判断ですが、東電が昨年6月に「廃炉の方向で検討する方針」を表明してから1年以上たち、あまりに遅い対応です。

 県内全10基の一日も早い廃炉は、事故を経験した福島県民の総意です。県議会や県内の全自治体が「全基廃炉」を求め、県議会では2011年10月から廃炉を求める意見書や請願を繰り返し可決・採択してきたのです。

 しかし東電は昨年の表明以後も、多岐にわたる課題を整理するなどと、正式な廃炉表明をしないままでした。

 廃炉の正式決定をめぐって福島民報などの県民世論調査(1月)で、「国がより前面に立ち、東電への働き掛けを強めるべき」だと答えたのが44・8%でした。しかし、安倍政権は「東電の経営判断」の立場で県民の願いに応えてきませんでした。日本共産党の岩渕友参院議員は今年3月の国会で、廃炉の「要請」しか言わない政府を批判し、廃炉の政治決断を求めました。

 政府の態度は、原発を「ベースロード電源」と位置づけ、原発推進に固執しているからです。国のエネルギー基本計画では、30年度の発電に占める原発の割合を3%(17年度)から「20~22%」賄うことに「全力を挙げる」と明言。この政府の方針の下、東電は新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働をねらい、青森県で東通原発の建設を進めようとしているのです。

 東電と国は福島第1原発の収束と廃炉にこそ全力を挙げ、原発ゼロに踏み出すべきです。

 (「原発」取材班)

遅きに失した・・日本共産党福島県議団・神山悦子団長の話

神山悦子県議団長

 東京電力が福島第2原発の廃炉の意向を表明してから1年以上、遅きに失します。

 東電と国は、県内全基廃炉という「オール福島」の声を8年以上も放置してきました。去年は方向だけ示しましたが、正式決定について全く表明せず、参院選をにらんでここまで引きずってきたのでしょうか。県民を愚ろうしています。

 県内10基廃炉は、福島県民が最初から言っていることです。それを東電がうやむやにしてきたのです。全10基を廃炉にしなければ、帰還したい人も帰れません。廃炉の決定を遅らせることが復興を遅らせている原因です。東電任せでなく、国がちゃんと決断することが求められています。

 国が原発推進をやめて再生可能エネルギーへの転換に踏み出すことなしに、福島の復興などありえません。復興は今後も続きますが、賠償切り捨て、被害者切り捨てが進められています。今後もそれを許さないたたかいに県民とともに全力を挙げます。

 また、廃炉の条件に使用済み燃料の乾式貯蔵施設の設置を持ち出すことは問題です。条件など付けずにまず廃炉を決断すべきです。

(「しんぶん赤旗」2019年7月25日より転載)