日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 九電 繰り返す「出力抑制」・・再生エネルギー発展 原発再稼働が足かせ

九電 繰り返す「出力抑制」・・再生エネルギー発展 原発再稼働が足かせ

九州電力川内原発=鹿児島県薩摩川内市

玄海3号機停止中「抑制」なし

 九州電力は、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーによる発電の一時停止を求める「出力抑制」を昨年から繰り返しています。これまでに出力抑制を計56日実施していますが、原発再稼働が再エネの発展の障害となっていることが明確に表れています。(松沼環)

 九電は昨年10月、再エネ発電施設の出力抑制の要請を開始しました。このような要請は離島を除き全国初でした。九電は、供給量が需要を上回り、需給バランスが崩れ大規模停電に陥る事態を回避

九州電力玄海原発3号機(手前)と4号機(奥)=佐賀県玄海町

するためと説明していました。

 九電は、同年9月に定期検査中だった川内原発2号機(鹿児島県)を稼働。これにより九州で発電する原発は4基(計414万キロワット)となりました。

 九電は今年2月までに、再エネの出力抑制を計10日実施。3月には計16日、4月には計20日と、1カ月の半分以上で実施しました。さらに5月に入ると、12日までに計10日と、毎日のように出力抑制をしました。

 他方、4基の原発のうち、玄海原発3号機(佐賀県)が定期検査に入った5月13日以降、出力抑制した日はゼロです。今月22日に同3号機が発電を開始するまで、九州で稼働中の原発は3基で、その間、一度も出力抑制はありませんでした。

 出力抑制は、経済産業省が認可したルールに基づいて実施されます。原発は「ベースロード電源」として、最後に出力抑制する「長期固定電源」に位置付けられ、燃料費がかからない太陽光や風力から先に抑制すると決められています。

 出力抑制を要請する太陽光発電などの事業者は、九電が選定。出力抑制が頻発すれば、事業者の収益を圧迫し、再エネの利用拡大を妨げる恐れがあります。原発が再生可能エネルギーの拡大の障壁となっている実態が、改めて浮き彫りになりました。

 再エネ利用については、各地で電力会社が所有する送電網への接続が拒否されたり、巨額の接続料を請求されるなどの事態も起きています。2020年には、電力会社が行っている発電事業と送配電事業を分離させる、発送電分離が予定されていますが、現実には発送電会社を電力会社の子会社化することが可能です。

再エネ優先接続を法律で決める必要

 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長の話 再エネの拡大には、原発優先が大きな問題です。再生可能エネルギーの送電網への接続や給電は電力会社が決めています。再エネの優先接続、優先給電を法律で決め、所有権レベルでの発送電分離が重要です。

(「しんぶん赤旗」2019年7月24日より転載)