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福島に生きる 被災地ガイド 天野和己さん(60)・・透析できず命の危険

「二重の命の危機にさらされた」と語る天野さん

 相馬市の天野和己さん(60)は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地ガイドをしています。

 ガイドはNPO法人「野馬土」が取り組んでいる事業。「野馬土」は、「放射能汚染による食品の安全性に対する不安や県民の健康に対する不安を最小限にとどめるための事業を行い、相馬地方をはじめとする福島県の地域及び農業復興に寄与することを目的」につくられた法人です。

■町の基盤崩壊へ

 天野さんは、避難指示区域の福島第1原発20キロ圏内を案内しながら、震災時から現在までの被災地の状況を説明しています。

 主に浪江町を中心に案内。希望により、双葉町、大熊町を通過し、富岡町まで行くこともあります。所要時間は最低3、4時間程度です。

 「放射線の線量計を持って入ります。外見は変わりませんが、大熊町などでは毎時4マイクロシーベルトを記録するところもあります。今後10年後、20年後どうなるのか。国は口では『復興』と言っているが被災地の家々の解体が進み基盤がなくなっている」

 天野さんは、JR東日本の運転手でした。2016年に早期退職しました。透析患者です。週3回病院で透析をしています。「3・11」の日は透析が終わり自宅に戻ったときでした。大きな揺れで4歳の孫を抱いて外に出ました。揺れは収まったものの水が止まりました。

 自宅避難。窓を閉め切り、ろう城となりました。

 血液透析の治療の際には大量の水が必要となります。週に3回、4~5時間の透析が必要です。1回に必要な水は120リットル。2リットル入りペットボトルが60本分になります。そのほかに透析前の洗浄や透析液の濃度調整、透析後の洗浄、消毒などにも大量の水を使います。天野さんが通う病院では、4時間必要な透析を3時間に短縮するなどして、震災直後を乗り切りました。

 相馬地方では、高齢化が進み、透析患者は増えるだろうとみられています。現在、四つの病院が透析を実施していますが、専門スタッフなどが不足しています。「透析患者用のベッドや医療スタッフを増やすことはできないのだろうかと思います。患者は、原発事故の影響と透析との二重の命の危機にさらされました」

■国・東電に勝つ

 天野さんは、「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(中島孝原告団長)の第2陣原告に加わりました。

 「国は本気で再生可能なエネルギーに転換させる気がない。事故を起こしたことへのけじめがない。再稼働に動いている。制裁を加えないと国も東電もやめないと思い原告になったのです。勝訴するように頑張ります」(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2019年7月22日より転載)