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安倍首相 福島での第一声・・原発事故いっさいふれず

 安倍晋三首相は7月4日、福島市の果樹園で行った参院選挙の公示第一声で、東京電力福島第1原発事故による被害賠償や、いまだ郷里に帰れない県民の苦しみにはいっさいふれぬまま、「福島の復興なくして、日本の再生なし」と気勢を上げました。前日に日本記者クラブで行われた党首討論では、原発の新増設に反対するかを問われ、7党首のうち安倍首相だけが挙手をしませんでした。原発事故の被害実態を無視し、原発推進に固執する安倍首相に福島県内から強い批判が出ています。

生活の復興置き去り

 いわき市民訴訟原告団長の伊東達也さん(原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員)の話 安倍首相は、「福島の復興なくして日本の再生なし」と第一声で訴えましたが、その中身は“惨事便乗型復興”です。新しい役場や体育施設など大型の箱ものがどんどんつくられ、町の姿が変わってしまった。他方で、県民の復興、生活の復興は置き去りにされたままです。

 避難解除となった川俣町の山木屋では、校舎を新築して小学校が再開されましたが、子どもたちが戻ってこないため、たった1年で休校になってしまいました。福島原発事故前の家に戻っていない人たちが、現在でも7万~8万人います。これらの人々は、すでに首相や自民党の眼中にはないようです。住宅補助などがどんどん打ち切られています。戻った人も地域のコミュニティーが成り立たなくなっていて、厳しい生活を強いられています。

 安倍首相は、風評被害にも言及していますが、それならば原発の放射能汚染水を海に放出することは決して許されません。

正面から向き合わず

 「地域を返せ、生業(なりわい)を返せ!」福島原発訴訟の中島孝原告団長の話 福島原発事故の被害に正面から向き合った第一声ではなかった。

 福島県民にとって、脱原発に向けて着実に努力する国の姿が見たい。原発再稼働をやめ、新増設もしないことを表明することなくして、福島県産品や日本そのものへの信頼感を取り戻すことはできないでしょう。

 再稼働ありきでは真の復興はありえないのです。復興のでっち上げの感はぬぐえません。

 福島県民と国民の原発事故に対する不安に寄り添っていないわけで、あたかも復興がすすんだかのように私たちをだます安倍首相のたくらみは成功していないと思います。

(「しんぶん赤旗」2019年7月5日より転載)